NEWS
シニアツアー

【ISPSハンダカップ・FR】37ホールボギーなし!柳沢が逆転し嬉しいシニア初優勝

2017年11月18日

「ISPS・ハンダカップ・フィランスロピーシニアトーナメント」の最終ラウンド。首位と2打差の7アンダーからスタートした柳沢伸祐(51)が、5バーディーノーボギーの67でホールアウト。首位スタートのマイヤーを逆転し、通算12アンダーでシニア初優勝を飾った。優勝賞金1000万円を獲得し、賞金ランキングは14位に浮上。スーパーシニアの部は、海老原清治(68)が72で回り通算1アンダーで優勝。

 第一声は「ホッとしています」。柳沢がバーディー1発で、うれしいシニアツアー初優勝を手にした。

 決めたのは17番パー3だった。首位マイヤーと一騎打ちになった後半。ここまで通算11アンダーで、柳沢を1打リードしていたマイヤーが、第1打を右のバンカーに入れた。「クラブに迷った。軽く打とうと6番アイアンにしたけど、しっかり7番で打てばよかった」とマイヤーは振り返る。柳沢はグリーンには少し届かなかったが、いい位置に置いた。「マイヤーさんがミスをしたので、パーを取れば、並べるかなと思った」という。マイヤーのバンカーショットは寄らなかった。

柳沢は迷わず「タッチが合っていた」というパターを持った。「上って下るフックライン。寄せればと思っていたけど、1、2メートル手前からその気になって入れって」と思い出し笑い。入った瞬間は「気分最高でしたね」という。マイヤーが外し、終盤で逆転できた。

続く18番。「左右のOBが気になって、一瞬4番アイアンで刻もうかなと思ったけど、一番曲がらないのがドライバーだから」と攻めてフェアウェイに。マイヤーは左に行ったが、カート道に止まりかけた後、コロコロと戻り始め、50ヤードほどカート道を下って止まった。「ボールが戻ったって。あそこはセカンド残り70ヤードぐらいで打てるのに、135ヤードもあった」と、思わぬ場所からの第2打となり、グリーン右に外した。柳沢はピン手前2メートルほどに乗せ、この時点でほぼ勝負あり。最後はバーディーで締め、終わってみれば2位に3打差をつけていた。

柳沢は「実は単独3位でホッとする予定だったんです」という。来季シード権確保の賞金ランク30位以内にはいることが大目標。「ただ、そう考えるとビビってしまいそうで、優勝争いを考えることにしたんです。それがよかった」と振り返った。

レギュラーツアー時代はほとんど成績を残せなかった。「予選会とか、どっちかというと、やっちゃダメっていう悪いプレッシャーでやってきたんで。優勝争いって、いいものを出そうという、いいプレッシャーでやれた。優勝争いできるなんてプロ冥利に尽きますね。味わえてよかった」と、しみじみといった。

今大会練習日に腰を痛め、病院に直行。「テーピングと痛み止めと座薬」の3点セットが手離せない中での優勝。しかも、初日43位と出遅れた。「かがむとピリッとくるんで」とパッティングも構えたらすぐに打った。初日17番で5つ目のボギーをたたいたが、以後優勝の瞬間まで37ホールボギーなしと見事なゴルフを展開した。

シニア入り後、普通のパターでプレーしていたが「天候のおかげでグリーンが遅くておかしくなった」とパッティングに悩み、9月のコマツオープンから以前使っていた長尺に替えた。「速いグリーンによかった。速いのが得意なのかなと思いましたよ」と、パッティング好調の要因に挙げた。

10歳で父のゴルフ練習についていき「親父の球置きから始まった」という。中学から本格的にゴルフを始め、26歳の1992年に7度目の挑戦でプロテストに合格した。「そのころ、秋葉(真一)さんも何回か落ちていてよく一緒に受けていたんです。秋葉さんもこの大会で初優勝(2015年)して、その状況(最終18番でロングパットを入れて優勝)も似てるって言われました」と笑った。その秋葉は翌年4月のノジマチャンピオン杯ですぐに2勝目を挙げている。

賞金ランクはシード権外の32位から一気に14位に。「来週は気楽にやれるんだろうなあ。シード権をほぼ決めた人たちが楽しそうにやっているのがうらやましかった。調子に乗って、もう1つ勝ちたいですね。シニアになってよかった」。これぞ、プレッシャーから解放された表情、という笑顔を見せた。

(オフィシャルライター・赤坂厚)