「ボンバー」の異名を持つ鈴木亨(51)が、久々に爆発した。1番ホールでバーディー発進し、2番ホールでボギーを叩いたものの、サンデーバックナインに入って本領を発揮。10番、15番ホールでバーディー奪取し、上り17、18番ホールでの連続バーディーで締めくくった。6バーディー・1ボギー67のベストスコアでクラブハウスリーダーとなり、後続組のプレーを待った。
「5アンダーまでスコアを伸ばしたなら、優勝出来るかも知れないと思ってスタートしたのですが、思えば2番ホールのボギーがもったいないですね」。
結果は通算1オーバー・29位タイから5位タイに急浮上してフィニッシュとなった。 台風22号の余波で当初のスタート時間よりも1時間半遅れとなった。それでもコースにはスコールのような雨が降ったり、突風が吹いたり、陽が差したりと天候は目まぐるしく変わった。しかし、リーダーズボード最上段に首位を独走する三好隆のスコアが通算6アンダーのまま変わらない。鈴木はポツリと呟いた。
「昨日(第1ラウンド)のスタートホールでダブルボギー、2番ホールもボギーですよ。それを思えば、よく盛り返しましたよね。日本プロシニアで新しいアイアンに換え、先週のアサヒ緑健TVQシニアから春先に使っていた新ドライバーに戻し、アイアンショットもドライバーショットも(ミスの)心配することなく振れるようになりました。
だけどパットが入ってくれないからビッグスコアを出せずいたんです。パット数30を切らないとね…。今日は久しぶりの28パット。嬉しいです」。鈴木は笑みを浮かべたものの、すぐに暗い表情に変わった。
前日のスタートホール。ティーショットはフェアウエイ右ラフに捕まった。前方の細木がショットライン上にあり、低い球で打ち出すショットイメージを描いたが、ボールはその細い木に当たってしまったのだ。
「あんな細い木に当たるかな。それに跳ねたボールがOBエリアに消えてしまうなんて。次のホールは3パットのボギー。昨日と今日で1、2番ホールだけで4打もスコアを落としている。勿体無いですよね(苦笑)」
久しぶりのビッグスコアを叩き出しただけに、スコアを落としたホールのミスが頭を過ぎって当然だろう。タラレバだが、失った4打を足したなら通算8アンダー。優勝した三好のスコアを一打上回る。
来週は富士フイルム シニアが控える。「地元開催だし、息子が帯同キャディーでバッグを担いでくれるし、自宅から通えるし、(初優勝達成の)準備は整ったように思います」と最後は、自らを奮い立たせる言葉を残し、上がり2ホールでの連続バーディーの手応えを持って、鈴木は千葉の自宅へと向かったのだった。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)