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シニアツアー

<福岡シニアOP・1R>ゴルフは力任せではなくメンタル!三好は5年振りの優勝を狙う

2017年10月28日

「惜しいでしょ! 強引に攻め過ぎた」。

クラブハウスに戻って来た三好隆、66歳は、待ち受けていたメディア記者たちに向かって、そう言い放った。

 スタート1番ホールから2連続バーディーを奪い、5番、9番ホールでもバーディーパットをねじ込んだ。「もう1回バーディーチャンスが必ず来るはず。そのワンチャンスに賭ける」と目標達成への青写真を明確に描き切ってハーフターンした三好。10番、13番ホールでバーディーチャンスを迎えたものの、「苦手なスライスラインで、しかも微妙な切れ具合。それを外しても、まだ我慢だと思えたんだけど」と振り返る。

 残りホール数が減り、迎えた17番パー4ホール。ピンをデッドに攻めたが、グリーン周りのティフトン芝に捕まり、パターを使っての寄せは1・5メートルほどショート。

「フックラインと読んだけれど、右に少し打ち出し過ぎてのボギー。ワンチャンスに掛けていたのにボギーが来てしまいましたよ。最終ホールでバーディーは獲れたけどね」

 結局、この日は6バーディー・1ボギー67、5アンダーで白潟英純と首位の座を分け合う形となった。その成績順位を悔しがったのではない。「あと一打」で66となれば、エージシュート達成だったことを残念がったのだ。

 実は、好調のゴルフをもたらしてくれたのは悪天候だった。

「雨でグリーンが軟らかくなっていたので、ボールが止まってくれましたからね。いつもならグリーンが硬いので手前から攻めて行くしかない。今日はその気遣いが無かった分だけショットは楽だったね」。

  

 三好にとっての恵みの雨は、2週間前にも降っていた。佐世保シニアオープン。荒天によるコースコンディション不良で、大会は最終ラウンドが中止になったが、その前日のラウンドは強い風と雨の中で行われた。「雨も風も強い中でのゴルフで、自分で新たに試して来たことがまったくの思い違いだと気づいたんですよ。風が強いから力任せではなく、腕の振り主体のスイングにしたら、好調時のタイミングを思い出したんですよ」。

 前半のアウトコースで44、後半インコース38の82と大叩き。出場シニアプロの中で「ブービーでした」と三好。その2日後に行われた第8回ユニデングランドシニアチャンピオンシップも生憎の雨ゴルフとなった。だが、その雨によって思い出したスイングを再確認できた。72・67の通算3アンダーで2位。さらに、その翌週に行われたアサヒ緑健カップでは66・66の通算8アンダーで首位タイとなり、プレーオフでは敗れたが、2日間エージシュートを達成し、成績以上の収穫を得た。自分スイングへの原点回帰。そんな経緯があってこの大会初日を迎えていたのだ。

「新しいテクニックも武器にはなりますけどね。元来いい加減な人間ですから、こうしなくては駄目なんだと思う時は(結果も)駄目。こんなもんでいいと思う時は結構いい距離感とか方向が出るんですよ。メンタルですね。ゴルフの面白さ怖さはこういうことなんだという気がします」

 理詰めから感覚スイング、ゴルフに戻して復調の兆しを掴んだ三好。12年ISPSハンダ灼熱シニア以来のシニアツアー通算8勝に向け、いい加減ゴルフで挑む。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)