スタートしてボギーが連続したものの、上がってみれば3アンダー・3位タイ。首位と2打差につけたのは毎ラウンド「ノーボギーゴルフ」を目標にしている久保勝美(55)だ。
「3番パー4は2打目をミスし、1・5メートルのパーパットを外してのボギー。続く4番ホールはティーショットを右に曲げてのボギー。ノーボギーゴルフを心掛けてはいますが、ボギーが先行し、しかもそれが続いちゃうと、つい切れてしまうことが多くて…」。
2連続ボギーを叩いた久保は、5番パー4のティーグラウンドに上がった。ワンオンチャレンジを意図し、290ヤードに設定されたホールで、久保は迷わずにドライバーを手にする。「思い切り引っ叩いてやろうと思って。それがうまいことグリーンを捕らえ、しかもピン4メートルに着いたんです。同伴競技者のアマチュアの方が僕より遠く、似たようなラインを先に打ってくれたのもラッキーでした」と久保。ラインを読み切り、イーグルパットを確実に沈めて連続ボギーを帳消しにしたのだった。
これで流れは変わった。6番ホールで1メートル、7番ホールで5メートルのバーディーパットを沈め、9番ホールでは80センチを楽々カップインさせて3アンダーにスコアを伸ばす。後半もこの勢いを持続させたかった。
「10番ホールから3ホール連続でバーディーチャンスに着けたのですが、決めることが出来ませんでした(苦笑)。あげくに16番ホールでは3パットのボギーですよ。雨が降り止まず、水を含んだ芝草からのアイアンショットはインパクトでボールがスリップして、ドロップするかどうか悩まされました。グリーンを無難に捕らえるショットが続き、最後の方はバーディーチャンスが減ってしまいました」。
それでも首位とは2打差の好位置で最終日を迎える。「明日も一打一打ドキドキ緊張しながらプレーを楽しめますね。最終組近くでプレーしていたなら、(優勝)チャンスが来るかも知れませんし、シニアツアーも残り4試合になりましたからね」。
「2位狙い」といつも公言している久保は明日、15年の金秀シニア以来のツアー通算2勝目に挑む。「ノーボギーゴルフを目標にプレーする」。「ボギーを打っても切れない」ことで優勝争いに踏み止まる。そう自分に言い聞かせているに違いない。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)