今季シニアツアー第14戦目の第5回トラストグループカップ 佐世保シニアオープンを制したのは髙橋勝成、67歳。大会初日に68をマークし、最終日が雨によるコースコンディション不良で中止となり、「棚からぼた餅での優勝」を手にしたのだった。
「運良くですよ、ホント。優勝できて嬉しいけれど、申し訳ない気持ちも強いんです。(最終日も)プレーして、勝ち獲ったわけではないので…」
07年アデランスウェルネス以来、10年ぶりのシニアツアー13勝目を挙げたものの、心の奥底に妙なわだかまりを抱えてしまったようだ。だが、久しぶりの快感も味わっていた。
初日の18番パー5ホール、3打目。ピンまで107ヤード。強い追い風が吹いていた。ロフト52度のウェッジを選択し、キャリー85ヤードのショットイメージで放ったボールは、ピンに向かって真っすぐ飛んだ。「うまく打てた感触から、ボールの行方を最後までは追わなかったんです。すると同伴競技者の高見(和宏)クンが『入ったぁ!』って叫び、思わず僕は『えっ!?』と思ってピン方向を見たら、ボールが消えていました。このショット・イン・イ―グルで通算4アンダーにスコアを伸ばせた。首位に立てたのはラッキーでした」と髙橋。
実はレギュラー時代にも同じような経験をしている。1985年ミズノオープン初日、17番パー3でホールインワンを達成。「この一打は大きいと何故か感じたんですが、第3ラウンド終了後に首位に立ち、最終日は悪天候で競技中止となって優勝したんです」。雨の恵みによって勝利の美酒を味わったのだ。
「シニア入りして、再びぼた餅優勝をするなんて思いもしませんでした。現役時代とは違って、ぼた餅を食べたはいいけど、よく噛んで飲み込まないと喉につっかえてしまう年代になりましたから、謙虚にプレーして行くだけです(笑)。
エージシュートには1打及びませんでしたが、僕としてはエージシュート達成できるかどうかを毎ラウンド楽しみにしてプレーしているんです。達成したなら喜んでくれる人が多い。それが嬉しいんです。これまでのエージシュート達成回数ですか? ごめんなさい。数えていないので即答できません」
データを紐解けば、これまで3回達成(アルファクラブ、マルハンシニア、いわさき白露シニア)。ボギーが先行したなら、さぞかし気持ちが凹むだろう。「仕方ないと割り切り、受け入れる。それが最善策なんですよ。まだホールは残されていると前向きにプレーするしかありませんよね」。へこたれない不屈の精神。髙橋は福岡シニアでのエージシュート達成を、それも4回目、5回目を目指している。その延長線上に2試合連続優勝があるからだ。