NEWS
シニアツアー

【ファンケルクラシック・2R】最終日最終組のチャンスを生かしたい加瀬「頑張ろうとせずに。気負わずに」

2017年08月19日

最終18番ホール、566ヤードのパー5。ピンまで残り262ヤード地点にティーショットを運んだ。打ち下ろしを加味して実測は247ヤード。長年タッグを組んでいる帯同プロキャディー清家充広氏から3番ウッドを受け取った。(入れ込み過ぎないで!やる気スイッチオフのままですよ)。清家氏からのアイコンタクト。加瀬は軽く頷いてから放った2打目はピン奥5メートルに乗った。ツーオン成功。イーグルチャンスだ。

「このパットを(一発で)沈めたら、この日のベストスコアだと思ったけれど、決めきれなかったね」と加瀬秀樹(57)。決して悔しそうな話し方ではなかった。

 初日は3バーディー・1ボギー、2アンダー・11位タイ。この日の加瀬はショットが冴え渡った。1番パー4ホールで2・5メートルのバーディーパットを沈め、5番パー4ホールではピンまで残り155ヤードの2打目を30センチ、7番パー4ホールでは同92ヤードを50センチ、9番パー5ホールでは3打目115ヤードを4メートルに着けて、確実にバーディーを奪取した。

 ボギーを唯一叩いた10番パー5ホールは、3打目を7メートルに乗せながらバーディートライがカップを50センチオーバー。返しのパーパットが外れた結果だった。11番ホールのティーグラウンドへ向かうインターバルで、清家キャディーが声を掛けた。「やる気スイッチオフですよ、オフですよ」。

 今季の加瀬は計5戦出場して開幕戦のノジマチャンピオンカップ 箱根シニアでの21位タイが自己最高成績。低迷が続いていた。愛息の哲弘さん(当時18歳)が帯同キャディーを務めてくれた2014年のISPS・HANDA CUP・フィランスロピーシニア以来、優勝から遠ざかっている。その後、哲弘さんが米国留学し、親子は離れ離れとなった。愛息が久しぶりに帰国した8月上旬には「験担ぎ」も込めて、マルハンカップ 太平洋クラブシニアで再び親子タッグを組み、試合に臨んだ。結果は36位タイ。優勝には程遠い成績に終わっている。

「開幕戦で使っていたマッスルバックのアイアンが車のトランクに入っていることをフト思い出したんですよ。2戦以降、ハーフキャビティーバックアイアンに替えたのですが、成績が出なかったことで、気分転換。今週の練習日に戻したらフィーリングが良かった。シャフト長さが少し短いことで構え方も微妙に変わり、気持ち良く振れるようになったのです」

 7月上旬、加瀬は北海道・恵庭カントリー倶楽部で開かれたマオイシニアオープンに練習ラウンドなしで出場し、初日首位タイとなった。「ぶっつけ本番だったことで、気負いがなく、リラックスした状態でラウンドしての好発進。このホールは絶対バーディーを取るぞ!と思うと緊張感は高まり、アドレスから力が入り、視野が狭まる。頑張ろうとせずにプレーしたのが良かったと気付きました」。最終順位は3位だったが、加瀬にとっては成績以上の収穫を得た一戦となった。

 空回り。それを防ぐために「ターゲットを絞り込まず、目標を大きく設定する。ティーショットはフェアウエイに行けばいい、グリーンに乗ればいい。チャンスが来るまで待てばいい」と考えてプレーするようにしたのだ。

 昨年11月の富士フイルムシニア以来の最終日最終組。奇しくも明日の組み合わせと同じくプラヤド・マークセンと同組だったが、結果は前組の田村尚之に逆転優勝された。

「明日も今日のようにリラックスゴルフを貫き通せるかが楽しみ」と加瀬。「加瀬さんか、せめてマークセンが勝てばいい。前の組の選手に逆転だけはされたくありませんね」と清家キャディーは9カ月ぶりの「直接対決」を喜んでいた。

 加瀬の「やる気スイッチ」をオフに保てるかも見ものだ。

(PGAオフィシャルライター・伝 昌夫)