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シニアツアー

【エリートグリップシニア/FR】汪(55)サバイバル戦を制し日本シニアツアー初優勝

2017年08月10日

 来日3年目の汪徳昌(54=台湾)がパッティングのうまさで日本シニアツアー初優勝を果たした。難コースと暑さで上位陣がくるくると入れ替わる大混戦。上がっては落ちるのサバイバル戦になった。14番を終えて汪は通算5アンダーで2組前の羽川、同組の田村とともに首位。田村が、羽川がスコアを落とし、17番で汪が5メートルのバーディーを決め、通算6アンダーで抜け出した。

ホールアウトしていた高見、同組の田村、ミノザに2打差で迎えた18番。「きょう2回目のドライバーショットのミス」で右の林に入れ、出すだけ。3打目も奥のカラーにこぼれた。先に田村がバーディーパットを外し、汪の番。ピンまで5メートルだった。「入れたら、みんなチャンスがなくなるから入れようと思った」とスライスラインを決めて、ガッツポーズ。来日以来ずっとキャディーを務めている妻の鄭綉諭さんのほほに軽くキスをした。

「3年目で初めての優勝。気持ちいいよ。うれしいね」。まだ日本語はうまくはないが、精いっぱいの言葉で気持ちを表現した。表彰式でも「ありがとね」を笑顔で連発した。

台湾の淡水で呂良煥に師事。1992年のフィリピンオープンで初優勝した。日本での優勝は今回が初めてだが「これまで台湾、中国、アジア、ヨーロッパで試合をしてきて、25年でちょうど40勝になった」と喜んだ。

今大会、選手たちを苦しめたのが、日本では少なくなった高麗グリーン。芝目が強く、ラインを読みづらい。思わぬ曲がり方もする。「台湾はいまも高麗グリーンだけしかないよ。台湾人は高麗グリーンが大好き。ラインはわかる」と笑う。この日は14番で右の林に入れるトラブルから5メートルのボギーパットを沈めた。16番で5メートルのパーパットを決め、最後も5メートルのパーパット。後半、勝負どころで神がかり的なパッティングをみせたのも、慣れ親しんだ高麗グリーンの大会だったのが、精神的にも、技術的にも、汪に合っていたのかもしれない。

27歳の長男汪徳傑は台湾のプロゴルファーで、日本ツアーに参戦する準備をしているという。娘2人も社会人となって、手を離れた。妻と2人、これからも日本のシニアツアーに根を下ろしていくのかもしれない。

(オフィシャルライター・赤坂厚)