通算7アンダー首位でスタートした羽川豊(59)は、フロントナインを2バーディー・1ボギーで凌いだ。最終組で一緒に回るプラヤド・マークセン(51)に一旦は首位に並ばれたが、9番ホールでマークセンがボギーを叩いたことで、1打差を着けていた。
「前の組の秋葉(真一の存在)を忘れていたよ(笑)」と羽川。一組前で回っていた秋葉が2連続と3連続バーディー奪取の好プレーを演じ、通算10アンダーでハーフターンしていたのだ。羽川は2位、首位を走る秋葉との差は2打だった。
バックナインに入って11、12番ホールで連続バーディー奪取、14番ホールでは難しい下りの左曲がりラインを読み切って、4メートルのバーディーパットを沈める。会心のパットが続き、羽川は通算11アンダーで単独首位の座に就いた。そのまま逃げ切りたい試合展開だった。
続く15番ホールでボギーを打ちながらも、16番ホールでバーディーを奪ってバウンスバックに成功。
残り2ホール。17番パー3ホール。210ヤード。4番アイアンを選択し、構えた。ピンに向かってストレートボールのショットイメージ。スイングを始めると「アゲンストの風を感じてしまった」ことで、距離を出そうとしてしまい、スイングのリズム、テンポ、タイミングが乱れた。「ダフってしまいましたよ。ボールは深いラフの中。打ち出すのが精一杯で何とかグリーン奥のバンカーに止まり、そこから2打で上がれた。スーパーナイスボギーだったね(笑)」
最終ホールはバーディーパットをねじ込めず、通算10アンダーでフィニッシュし、秋葉とのプレーオフに突入したのだった。
同1ホールめに秋葉が1・5メートルのバーディーパットを決め、羽川は3年ぶりの優勝を逸した。「首位に並ばれたり、首位の座を奪われたり、そして再び首位に立つことも出来た。ゴルフの内容は良かったけれど勝つことはできなかった。というよりも秋葉を褒めるしかないよね。あんなにバーディーを取って、プレーオフでは難しいピンサイドにピタリと着けてのバーディー奪取なんだからね。
自分としてはパットも打てているし、(勝ち負けは試合)展開次第。今日の負けは、次がある負けだと思う」。
敗れた試合から学ぶことは多い。羽川は今朝、違和感を覚えたという。「ぎっくり腰に」とまで言いかけながら、急に口を閉じた。勝てなかった言い訳に取られるのを嫌ったからだ。それだけ自身のゴルフは上向きであることを意味し、次の試合につなげる気持ちは誰よりも強い。13、14年に2年連続Vを達成したファンケルクラシックは、2週間後に控えている。さらなる活躍を期待したい。