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シニアツアー

【スターツシニア/FR】出場2試合2勝!勝率10割 リベンジを果たしたタイのマークセン

2017年06月11日

 6番ホール・400ヤードのパー4。左ドッグレッグ。前日の第2ラウンドを再現したようだった。

 首位と3打差の通算7アンダー・5位。最終日最終組の1組前でスタートしたタイのプラヤド・マークセンは、2、5番ホールで1メートルに満たない短いバーディーパットを沈め、首位に詰め寄った。

 迎えた6番ホール。オナーのマークセンは、普段よりも性急なルーティンでティーショットすると、うな垂れた。ティーグラウンドの左端へ歩を進める。左手でクラブを杖替わりにし、一旦、上空を見てから、瞑想し始めたように見えた。前日も同ホールで1打目をホール左サイドのOBエリアに打ち込んでいた。そして最終ラウンドでもOBエリアにボールが消えて行ったのだ。その怒りを鎮めようと必死なのが、一見して分かった。なぜなら、怒りにかまけてクラブを振り上げ、地面に叩きつけようとするような素振りをするのが常なのに、それをしなかった。自分のミスを一生懸命に受け入れ、頭に上った血を引かせている。そんな風に見えたからだ。

 3打目はフェアウエイをキープ。4打目はグリーンキャッチできなかった。それでも、マークセンは淡々とプレーを続けた。5打目のグリーンカラーからのアプローチではパターを手にし、打ち出したボールはカップイン。ボギーでホールアウトできた。

 スタート前、お腹の調子が悪く、トイレに5回も足を運んだマークセン。前夜の食事で口にしたキムチが合わなかったらしく「朝からお腹が痛くて、逆転優勝どころではないかな」と思っていたという。

 昨年大会の最終日は首位発進だったが、崎山武志に逆転優勝されて6位に終わった。事あるごとに周囲には「悔しい」と漏らしていた。勝ちたかった。その思いは日に日に強まるばかりだった。

 逆転された大会で、今度は逆転してみせる。その思いがあったからこそ、マークセンはスタート前のパット練習に多くに時間を割いた。いつもは3個のボールでパット練習をするのだが、この日ばかりは4個のボールで行った。「パットの成否が勝敗を分ける」と読んでいたからだ。1メートルほどのショートパット練習をし続け、1番ホールへと向かった。

「スタートしてからは、お腹の痛みは消えましたね(笑)」とマークセン。試合に集中することでアドレナリンがタップリと湧き出たのだろう。

 14番ホールでボギーを打ち、通算10アンダーに後退した際には「優勝は無理か」と思ったそうだが、最終18番ホール・パー5でバーディーを取ることに集中したという。 そのゲームプランどおりにバーディーフィニッシュし、通算11アンダーでクラブハウスリーダーとなったマークセン。プレーオフに備えて練習グリーンに歩を進めたものの、ボールは打たず、知人との立ち話でリラックスを優先させていた。

 1打差で追う最終組の白浜育男のバーディーパットが外れたことをギャラリーから聞かされ、マークセンは両手を天に突き上げてガッツポーズ。1年前のリベンジを果たすとともに、出場2試合連続の優勝を喜んだ。

(PGAオフィシャルライター・伝昌夫)