通算3アンダーで迎えた最終日。今大会でも昨年同様、「65歳以上の選手」で最上位者に賞金100万円が贈られる「スーパーシニア特別賞」が設けられている。スタートティーで65歳の三好隆は初めてそのこと知った。厳密にいうなら、三好は70歳以上の選手が対象だと勘違いし、「自分がその最上位者であることを聞かされました。賞金100万円だと知ったら、急に色めき立ってスタートホールでは3パットをしてしまいましたよ」と三好は苦笑い。
2週間前に練習場で左手中指を痛めてしまった。不慮の事故で、中指は爪がめくれ上がり、いまだに足の親指ほど腫れたままだ。
「インパクトの衝撃でジクッと電気が走るような痛みに襲われる。だから、インパクト以降はグリップから左手を離して振っていた。でも、中指を痛めたお蔭でバックスイングを急がずに振り上げるようになったし、左に曲げないようにとか、右に押し出したりしないようにとか、あれこれ考えないでショットし続けたのが奏効したね」。
三好は60歳の渡辺司と練習ラウンドをするようにしている。
「司の胸を借りているんですよ。小技の引き出しが多いし、ゲームマネジメントも上手い。たとえば、深いラフに打ち込んだら、少しでもグリーンに近づけたいと思ってしまうけれど、司は確実にレイアップし、次打でピンを狙う。ボギー以上は打たないという『守りのゴルフが強い』といのも寄せの巧みさあってのこと。無理なプレーをしてしまう僕とは違う。ホント、様々な考え方、捕らえ方を教えてもらっていますよ」。
65歳を過ぎても、もっと上手くなりたい、強くなりたいという欲望は衰えさせない。そんな三好には目標がある。「青木(功)さんが66歳で賞金シードを取った記録がありますが、僭越ながら僕もそれに続きたいんですよ」。
負傷しながらも通算3アンダー・18位タイに食い込み、賞金ランキングは38位から36位へとランクを上げた。次戦のKYORAKU MORE SURPRISE CUP までおよそ4週間、三好は中指の完治で迎え、さらなる活躍を誓った。