雷雲がコースに近づき始めた午後2時過ぎ。最終18番グリーン上では、この日スコアを4つ伸ばし、3アンダー7位タイから通算8アンダー・3位タイに浮上した米山剛(52)がいた。パー5の3打目をカップ1メートルに寄せてのバーディーパット。これを確実に沈め、米山は通算8アンダーでホールアウトした後、雷雲接近によって競技は一時中断となったのだった。
「開幕戦から3戦目ですが、ゴルフの好調さを維持できています。今日は危ない場面が…15番ホールかな。ティーショットが右前方の木に当たってしまったけれど、運良くフェアウエイにボールが出て来てくれて、パーセーブが出来ました」。
5バーディー・ノーボギー67。バーディーの打ち分けは4メートルが二つ、1メートル以内が3つだが「3、4メートルくらいのパットが入っているのは大きい。これくらいの距離が決まらないとビッグスコアを作れませんよね。これまで(優勝争いで)は、肝心なところでそれくらいの距離を外していたと思う。でも今は、うまくストロークできているんです」と米山は笑顔で話す。パット復調の兆しが、試合を重ねるごとに自信そして確信へと昇華しているからだ。
「アンカリングのルールが施行されましたが、昨年のシニアツアー終盤から長尺パターに替えて以来、パットを外しても打ち方のせいだと思えるようになり、ミスパットの悔しさを後に引き摺らなくなりました。使い始めた時は戸惑いもありましたけどね(笑)。パットが入るとショットも良くなる。この相乗効果は大きい」。
スコアカードを同スコアのP・マークセンよりも先に提出していたことで、最終日最終組でスタートする。首位の川岸良兼とは2打差。「一緒に優勝争いができるのは楽しみ。最終日最終組での同組ラウンドは(1990年)関東プロゴルフ選手権ぶりかな。勝つためには 精神力と技術力が必要だと思う」。米山は、シニアツアー初優勝を逆転で飾る気満々に見えた。愛用と化した長尺パターが勝利を呼び込む魔法の杖となるか。
27年ぶりの川岸との対決もまた、ギャラリー必見だ!
(PGAオフィシャルライター・伝昌夫)