井戸木鴻樹(55)が久々に笑顔を見せた。この日ベストスコアの8アンダー64をマーク。初日74の50位で「裏街道」とも呼ばれるインスタートから、一気に通算6アンダーの12位まで浮上した。
「2番で4メートルのまっすぐをしっかり打てて入ったのが大きかったね」と振り返る。井戸木にとって「まっすぐのラインが入るのが一番自信になる」のだという。インスタートの10、11番で2メートルほどをライン違いで外した。ここ2年ほど悩んでいるパッティングで「またか」と思った。「12番で7メートルぐらいを、もうラインも見んと、ポンと打ったら入った。気分はよくなった」という。15番からは3連続バーディー。4つスコアを伸ばして折り返し、2番の「まっすぐ」を入れて、自信を取り戻した。
6番でも取った後、8番パー5では第2打残り216ヤードを4番ウッドで4メートルに2オン。「フックしてからストレートの読み通りに打てて」イーグルを奪った。
この大会前にチャンピオンズツアー1試合と全米プロシニアに出場した。「3パットばっかりで、全米プロシニア(予選落ち)では4パットもした」と、自信を失っていた。この日は「ラインの読みとパッティングが合った。久しぶりやね、こんなのは。3パットが1回もなかったのも久しぶりやね」と「久しぶり」を連発した。
首位とは5打差と開きがあるが逆転可能な位置。ただ、井戸木が見ているのはもっと先。「この試合ということではなく、今後の試合につなげたい。去年賞金シードを取れなかったので今年は頑張りたい。ショットはいいから、パッティングに自信ができたら、いいゴルフになるんやけどね。明日もやらんとね」。2013年全米プロシニア覇者が、トンネルから抜け出すきっかけをつかんだかもしれない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)