大会出場者の中には、PGAティーチングプロ選手権(レギュラーの部)の優勝経験者も数人出場している。その中で、今野忠廣(52)は2005年、2012年と大会2勝を挙げており、注目される優勝候補の1人である。昨年は本選手権を欠場しただけに、今回の参加には意欲を燃やしている。
「実は地元東北で毎年行われている8月の『岩手県オープン』に参加する予定でしたが、背筋を痛めて、欠場を余儀なくされました。それから1ケ月は治療に専念するために、クラブは握れませんでした。いまは少しずつですが回復していますし、教えているジュニアの生徒たちとラウンドもできるようになりました。最近は2.5ラウンドで11アンダーも出ましたし、気分は上々。こうして待ちに待った大会にやってきました。レギュラーとシニアの両部門の制覇を目指しますよ」と、今野は笑顔を覗かせた。静ヒルズで練習を重ねてきた今野は、現在教えているジュニアの生徒たちにも、吉報を届けたい。
2010年のレギュラーの部で優勝しているのが、渡邊達(51)。これまで23年間レッスンの仕事に携わり、4年前から勤め先の練習場の支配人としても業務に深く携わっている。「支配人という仕事は、全体の責任者ということで、気持ちも引き締まりますが、人に支えられている、人に助けられている仕事なんです。一緒に働いているスタッフの協力なくしては、成り立ちませんよね」と、今の勤務先には、ずっと感謝を忘れない。スクール業務も週5日、毎回10人前後集まって、レッスンを行っている忙しい日々を過ごしている。
50歳になって、シニアツアー出場への挑戦もしている。昨年末のシニアツアー1次予選会に出場したが、35位で悔しい予選落ち。その後、日本シニアオープンの予選会に出場し、本戦の現地ウェイティングで順番を待った。渡邊の出場優先順位は3番目。大会初日朝に2人目まで権利は降りてきたが、その後全選手がスタートし、最後1枠までのチャンスは回ってこなかった。
一縷の望みにかけて、九州まで駆けつけた現地ウェイティングだったが、「気持ちの上で、色々な収穫がありました。予選会から、全てにベストを尽くしているんです。その結果だということです。ゴルフに関しては、練習やテクニックがまだまだ及ばないということ、仕事についても足りない部分があるんだということがわかりました。だから、次に目指すものが明確になり、頑張れるんだと思っています。いい経験になりましたし、試合に向き合う気持ちは、刺激になります」と、目を輝かせた。
ティーチングプロ選手権で優勝してから、7年が経った。その間にもいろいろな人が支えてくれてきた。「レギュラーとシニア、初のダブルタイトルを獲得して、いい報告がしたいんです」と、渡邊は勝ちたい気持ちを言葉にあらわした。