パット不振の悩みを抱えていた杉原敏一が、7バーディー・2ボギーの67をマークし、21位タイから首位とは1打差の4位タイに急浮上。優勝争いに加わって来た。
「グリーンの外から入ったり、長い距離が一発で決まったりで、パットが助けてくれました。打てば勝手に入る感じでしたよ」。杉原は信じられないという表情を浮かべながら、バーディー奪取ホールを話し始めた。
「4番ホールは外から7、8ヤード、5番ホールは2メートル、6番ホールは7ヤード、8番ホールは6メートル、11番ホール4メートル、12番ホールは3・5メートル、18番ホールがワンピンの距離でした。グリーンが速い仕上がりなので、(カップインを)狙うとオーバーするのが怖い。それが、うまく入ってくれました」。
決してラッキーだけでのバーディー量産だったわけではない。前日のホールアウト後に奥田靖己、高松厚とでパット戦を繰り返した。「スライスラインに対して左へボールを打ち出せるようになったのです。それまではストロークが良くなく、決められずにいたのが、パット戦のお陰で打てるようになったのがこのスコアにつながったと思います」。
杉原は賞金ランキング51位。明日の結果次第では、賞金ランキングシードを獲得できる。シニア初優勝となれば、最高の形で最終戦を締めくくれる。
「ショットが良くなったら、いつでも(勝負に)行ける準備をしておけ! オヤジ(故・杉原輝雄)からは、いつもそう叱咤されていたのですが、今日はショットがバラバラで、プッシュスライスが出てばっかりいました。オヤジには怒られる禁断のフックで何とか凌ぎました」。我武者羅なプレーが、バーディーにつながったとも言えるだろう。ツアー通算28勝、シニア通算6勝のレジェンドである父親から授かった多くの金言を胸に、杉原は明日の最終日、シニア初Vをひたすら目指す。