明日のシニアツアー最終戦最終日、シニアルーキーの伊澤利光が首位タイで午前10時00分にアウトコースからスタートする。
今年5月すまいーだカップシニアでデビューし、これまで11戦出場してファンケルクラシックでの3位タイが自己最高成績。2試合前のエリートグリップシニアでは最終日単独首位から発進しながら5位に終わり、シニア初優勝のチャンスを逃している。
「モチベーションを下げたくない」思いもあって、レギュラーツアーの出場順位を争うクォリファイングトーナメント(QT)を受け、来週はファイナルQTに挑む。
第1ラウンドで5バーディー・2ボギーの69をマークし、3位タイ発進した伊澤は、この第2ラウンドで2バーディー・ノーボギー70にスコアをまとめて首位タイに就いたのだった。
最終組で一緒に回った首位の久保勝美は77とスコアを崩し、2位の田村尚之も74とスコアを落として順位を大きく下げたが、伊澤だけはボギーを一つも叩かず、通算5アンダーとしたのだ。「ごめんごめん、俺と田村のボロボロゴルフで足を引っぱっちゃったね」とホールアウト後、キャディーバッグ置き場で久保は伊澤に謝った。その後ろで田村も頭を下げている。「そんなことありませんよ」。伊澤の顔には余裕を漂わせた笑顔があった。
思っていたほどスコアを伸ばせなかったのは「(バーディーチャンスが)下りだったり、大きく切れるラインだったりしたからで、パットが入らないときついですね」と、伊澤はこの日のプレーを振り返った。前半9ホールはすべてパー。折り返しての10番パー4ホールで3メートルのバーディーパットを決めた。その後は再びパーセーブを続け、最終18番パー5ホールで2打目をグリーンエッジまで運び、1メートルに寄せてのバーディーフィニッシュ。「スコアが安定していると言うか、バーディー欠乏症ですね(苦笑)。でも、たとえば6バーディー・4ボギーよりも2バーディー・ノーボギーの方が、ボギーは打っていないわけですから・・・。ボギーが少ないことに越したことはありません」。
ボギーを打ってスコアを落としたのでは、優勝争いから脱落するばかりだ。パーセーブなら踏ん張れる。チャンスをつかめる。「ポジション(順位)的には良いので納得はしています。ピンチらしいピンチはありませんでしたし、パーオンを続けられましたからね。トップが5アンダーというスコアは、風が強く吹くコースで難易度が高いからだと思います」。シニア初優勝に死角がないようにも受け取れるが、このラウンドで課題が一つ見つかった。
「パー5の2ホールで2度とも3番ウッドのミスがでました。ショットラインよりも右に行ってしまい、3打目はピンまで残り40ヤードもある深いガードバンカーに捕まってしまった。これから3番ウッドのクラブ調整をして、練習場で打って来ます」と言い残し、伊澤はキャディーバッグからクラブ調整用のレンチを取り出し、3番ウッドを微調整した。明日は「バーディーを量産したい」と言い、こう続けた。「優勝するために練習をして来ているんですから」。パー5ホールで取り逃したバーディーを明日の最終日は何としてでも奪取してみせる。それがシニア初優勝へ大きく近づく方法だと、伊澤自身が一番理解しているはずだ。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)