天候は晴れながら、気温14・4度。北北西3・3m/sの風がコースに吹いたのは正午前後のこと。1番組がスタートした午前8時30分は、ピンフラッグが揺れ、体感気温は一桁台だった。
午前9時00分にアウトコースからスタートした伊澤利光のドライバーショットは、フェアウエイ右サイド方向へ飛んで行った。無難にパーセーブしたものの、2番ホールでもドライバーショットが定めたショットラインよりも右方向へ出た。このホールはボギー。「今日はボールが捕まっていない。原因は下(半身)が動き過ぎているからか」と伊澤は考え、すぐにスイング修正を行った。
ボギーが先行したが、3番パー4ホールで2打目をピン1メートルに着けてバーディーを奪い、バウンスバックに成功。続く4番パー3ホールでは4メートルのバーディーパットを決め、5番パー5ホールではツーオン・ツーパットにまとめ、3連続バーディーとしたのだった。
7番パー4ホールでボギーを打ったが、後半に入って12、13番ホールでの連続バーディーで3アンダーにスコアを伸ばす。最終18番パー5ホール。ドライバーショットはフェアウエイ左ラフに捕まった。打ち上げのセカンドショットはピンまで残り272ヤード。3番ウッドで放ったショットはグリーン左サイドのバンカーに転がり込んだのだった。「ラフからのショットだったので、想定内でした。3打目はピンまで40ヤード。左足上がりのライだったので苦にはなりませんでした」。グリーン傾斜とバックスピンでカップ横3メートルに寄せた。バーディートライ。ラインには乗っていたが、ボールはカップ手前で止まり、それをタップインして伊澤は3アンダー・3位タイでのフィニッシュとなった。
先週はシニアツアーを欠場し、JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で行われたレギュラーツアーの来季出場優先順位を争うサードQT(クォリファイングトーナメント)に出場。出場選手98人中、上位29人がファイナルQTへ駒を進められる「狭き門」を26位で見事にクリアーして、このシニアツアー最終戦に臨んだのだ。
「サードQTの1、2ラウンド目も今日と同じような風が吹きました。その2日間とも1アンダーで回れたので、その経験を活かせたラウンドになりました」と言って、伊澤は笑みをこぼした。最終戦後の翌週にはファイナルQT(FQT)が控えている。「まだ(大会)2日間ありますが、できれば勝って(FQTに)臨みたいですね。次につなげたいです」。レギュラーツアー出場を目指しているのは「モチベーションを下げたくない」(伊澤)からだ。シニアツアー初優勝を果たして、FQTへ向かう。そんな青写真を伊澤はしっかり描いている。残り36ホールの伊澤のプレーが、俄然楽しみになって来た。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)