今年の4月から始まったPGAシニアツアーは既に16戦を終了。今週は11月15日(木)から17日(土)の3日間、成田ヒルズカントリークラブ(千葉県)で、「ISPSハンダカップ フィランスロピーシニアトーナメント」〈主催:一般社団法人 国際スポーツ振興協会(ISPS) 賞金総額5000万円〉が開かれる。残すところ今回の「ISPSハンダカップ」と「いわさき白露シニア」の2戦となった。
また同大会では、16日、17日の両日にスーパーシニアの部も設けられており(賞金総額400万円 優勝100万円)、昨年は海老原清治が68歳で大会初優勝。熱血枠予選会を勝ち抜いた選手を加えて総勢18名のベテランプロの神業も楽しめる。
開催するコースは世界屈指の設計家であるピート・ダイ最高傑作の難コースといわれる。ダイの特徴には、フェアウェイの独特なアンジュレーションや、水面を巧みに利用したホールやグリーン手前に待ち受ける巨大なバンカーなど、中途半端なショットは許されず、難易度が高くなっている。コースは大改修を行い、高品質な仕上がりをみせる日本初のメモリアルベントグラスを全ホールで採用。緑鮮やかで繊細なグリーン攻略が、優勝の鍵となる。
「ディフェンディングチャンピオンとして大会に迎えられると、気持ちがぐっと締まる気がしますね。優勝争いができるように、強い気持ちで精一杯挑みます」と、柳沢伸祐(52)は明日からの目標を口にする。昨年シニア初優勝を飾ってから、もちろん2勝目のチャンスを狙っていたが、調子が上がり始めた今シーズン6戦目の7月、日本シニアオープン出場直前でギックリ腰になってしまい、急遽欠場を余儀なくされた。練習もトレーニングもできず、マッサージ治療を中心に腰をかばいながら、自分の体と向き合って一夏を過ごした。10月の日本プロシニアではコルセットを外し、ようやく思うようなプレーが出来るようになり、大会順位は単独4位。辛かった夏を越え、ようやく復調の兆しが見えはじめた。
大会の連覇を狙う柳沢は「最強の帯同キャディを用意しましたよ」と、こっそり秘策を話してくれた。練習場で待っていたキャディは、柳沢よりさらに体格のいい豪快な笑い声が特徴のプロゴルファー堺谷和将、48歳。1998年のチャレンジツアー(現AbemaTVツアー)で初優勝をあげていて、レギュラー時代から柳沢とは練習仲間として長い付き合いだという。「堺谷プロは、2年後のシニア入りのつもりで、先輩に挨拶も兼ねて来てもらいました(笑)。プレーのタイミングなんかもわかってくれているし、試合に集中させてもらえる。そういう関係が築けていることは、頼もしいですよ。ただ、堺谷プロは、大会2日目から登場するので、初日は一人でも、しっかりいい位置につけたい」と話した。
堺谷は「いやー、シニアツアーいいですね。今日は先輩たちにあいさつしっぱなしでした(笑)。『大型コンビ』だねー、と声をかけてくれることが嬉しいですし、今後のシニアツアーという目標が励みになります」と、笑顔を見せた。
柳沢は、前年覇者というプレッシャーもあり、練習ラウンドを数回こなしたと話す。「ティーショットからグリーンまでずっと気が抜けないコースで、何度プレーしても難しい。ペナルティエリアといったトラブルを避けるためにはと、思考を巡らしています。特に風が強いと手ごわくなる。傾斜のあるグリーンも、戦いがいがあります」と、コース攻略にベストを尽くすことを誓った。
現在賞金ランキング29位につけている柳沢が、どこまで勝負を挑むかにも、目が離せない。