久保勝美(56)が奇妙な目標を口にした。「優勝か、3位を狙いたい」。前日は2位狙いって言っていましたが?「だって、2位になったら『また2位か』って周りに言われちゃうから。なんとか2位だけは避けようと」。昨年2位4回、今季も2位4回。2位は「花嫁の介添え人」と言われる。
この日は23パットで収めた初日とはうって変わって、グリーンに苦しんだ。「スタート前の練習グリーンで昨日の感じと違ってミスヒットが多いと思った」という心配が的中した。ボギー2つで迎えた7番パー5では、1メートル弱のバーディーパットを外し「やっちゃったなと思った。今日は我慢しようと」と決めたという。この日は30パットだった。
初日は練習ラウンドでよかったスペアのアイアンを使ったが「ゴロみたいな球が出たり。今日はそういうミスはなくなった」という。ただ、違いはグリーンの狙い方がうまくいかなかったこと。「昨日はグリーンの手前に打って、外れても上りのアプローチで寄せて1パット、という感じだったけど、今日はアイアンの落としどころが難しくて、グリーンにキャリーしちゃいけないのにキャリーしちゃってオーバーとか」と、攻め方がうまくかみ合わなかった。
それでも、最終18番で2オンに成功してバーディーで締めて、前日よりスコアを1つ落としたものの、通算3アンダーでトップとは2打差にとどまった。「マークセンが来ちゃいましたね。あいつだけには勝たせたくない」と言う。最終ホールでイーグルを取れば最終組でマークセンと直接対決になったはずだが「入れたいけど入れたら最終組は嫌だなとか思ったら2パットになっちゃった」と苦笑いする。
「昨夜、うつ伏せで寝たのが悪かったかな」と切り出す。悪い夢でも見た?「そう、そうなんです。飛行機に乗っていて、地面に落ちる寸前で目が覚めたんです。普通、座席にいたらそんなの見えませんよね。落ちる夢を見たから、スコアも落ちましたね。今晩が上に上がる夢を見ます。どんどん上がっていく夢をみたい」と笑った。
3位よりは当然優勝の方がいいに決まっている。3年ぶりへ優勝のカギは?「状況判断。ラフにはいったら花道方向狙いとか、コースマネジメントができるかどうか」。最終日、いい夢を見るのはベッドの上になるか、コースの上になるか。
(オフィシャルライター・赤坂厚)