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シニアツアー

【トラストグループカップ 佐世保シニア/1R】好スコアは長尺パターの恩恵? 水巻善典がトップタイスタート

2018年10月13日

 前週の第57回日本プロゴルフシニア選手権大会住友商事・サミットカップを制した米山剛が、パット練習法として愛用の長尺パターではなく、あえて34インチの「短尺」パターを使っていることを明かし、注目を集めた。短尺パター練習によって、長尺パターの易しさとその有り難さを感じられ、試合中では、その長尺パターの恩恵に浴することが多々あるという。

 アウトコースからスタートした水巻善典は前半で5バーディー、後半は2バーディー1ボギーにまとめ、6アンダー66でフィニッシュ。首位タイの好位置につけ、一昨年の福岡シニアオープン以来のシニア通算3勝目が視界に入って来た。

 スタートの1番パー4ホールでは2打めでグリーンを捕らえられず、3打目のアプローチショットをピンまで3メートルにしか寄せきれなかった。だが、この微妙な距離のパーパットをねじ込む。「これが入ってくれて気楽になった」と水巻は振り返った。続く2番ホールでは「3メートル」のバーディーパットを決めた。「出だしの1、2番ホールを上手くプレーしたなら、その後はスコアを出せる」とまで水巻は分析していた。その読みどおりにスコアを伸ばす。4番ホールで3メートル、6番ホールではチップイン、8番ホール1メートル、9番ホールで4メートルのバーディーパットを決めた。後半は10番ホールで1メートル、13番ホールでは寄せをミスしてボギーにしたものの、18番ホールでは3メートルを沈めてフィニッシュ。終わってみれば、大会18ホール最少スコア・タイをマークしたのだった。

「60歳を過ぎてもゴルフを楽しく、ドキドキしながらプレーしたいから、昔のように短いパターを使いたい思いもある。実際、練習もしていましたけどね。でもストレスが溜まる。ゴルフはやっぱり良いスコアでなければ楽しくない!ってことに気づきましたね」と水巻は長尺パターで紡ぎ出した好スコアを素直に喜んだ。

 2002年から長尺パターを使い始めて16年の月日が経った。長尺パターは練習しないで済む。なぜなら、パター自体に重さがあるため練習量が少なくても真っ直ぐに転がせる。体への負担も少ない。ストレスも溜まり難い。短尺パターの場合5~10メートルのミドルパットではショット感覚でラインが出しやすいメリットがある。しかし、ショートパットでは短尺パターの重量が重くないため、自分でパターを動かさなければならず、緊張感が強まるデメリットもある。パターに関しての水巻ならではの持論。だが、「長尺パターは、自分はパットが下手ですって言っている感じもするので、それは何とか脱したいけれど出来ないでしょうね」と心の奥の思いも吐露した。

 それでもこの日は、長尺パターで7バーディーを奪取。「グリーンが綺麗に仕上げられていたので、今日は距離感が合い、良いタッチで入ってくれました。最終ホールでバーディーなら、(川岸)良兼と明日一緒に回れる。そう思ったので頑張って取りました」。

 水巻の想定通り、明日は川岸と最終組で覇を争う。「試合で一緒に回った記憶はよく覚えていませんが、昔はよく回っていましたからね。ただ一緒にゴルフをするというのではなく、そろそろ『一番』っていうのが良いとは思う」。水巻はそう言ってロッカールームに向かって行った。

 現在、賞金ランキング29位。賞金シードを確定させるためにも「一番」を「優勝」の二文字に書き換えたい。長尺パターを手にしてのガッツポーズだって、やっぱり画になるはずだ。

(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)