パク・ブーウォン(53=韓国)が通算15アンダー201で前日からの首位を守って逃げ切り、日本シニアツアー初優勝を飾った。地元石川県小松市出身の川岸良兼(51)は朴にいったん離されたが、16番で1打差に詰め寄った。しかし、17番第3打のアプローチショットで二度打ちをして1打罰を課されてダブルボギーとし、最終的には2打差2位に終わった。
パク・ブーウォンは最終18番ティーインググラウンドで、川岸良兼との差が2打に開いていることを知った。「そこでホッとして、落ち着いてできました」と振り返る。
時間を戻す。16番で川岸がバーディーを奪って、スタート前の1打差に。17番。第2打でパクはグリーンをオーバーし、ラフのくぼみにボールがすっぽりとはまってしまった。グリーン右のバンカー縁のラフにいった川岸が先にアプローチして二度打ちを犯した。「自分が難しいライだったので、パーは難しい。とにかくグリーンには乗せようと考えていた。川岸選手の二度打ちには気づかなかったんです」。その後バンカーから打った川岸のスコアをボギーと思った。自分もやはり寄せきれずにボギー。1打差のまま18番に行ったと思い込んでいた。ところが打順では先に打つはずの川岸が待っているので「二度打ちでダブルボギーにしたのを知った」という。
落ち着いて打てたという18番パー5はフェアウエーからピン手前に2オン。2パットのバーディーとして、通算15アンダー201とし、逃げ切った。「正直、まだ実感が沸きません。日本のシニアツアーでどうしても1勝したいと思っていた。去年、この大会で金(鍾徳)先輩が優勝したのを受け継ぐ形になってうれしいです」と笑顔を見せた。日本ツアー初優勝、海外でも初めての優勝になった。
19歳の時に、ゴルフ練習場で仕事を始めたのがゴルフとの出会いだったという。1988年に韓国PGAではセミプロという準会員になり、92年に正会員になった。すぐに韓国ツアーに参戦し、2006年に43歳で「メリチョ・ソルモール」という大会で1勝を挙げている。シニアとなる15年までシード権を保持した。
「日本ツアーの情報を知ったのは40歳を過ぎてからなので、もう遅いと思った」という。日本のシニアツアーのことも知らなかった。転機は15年に日本シニアオープンに推薦で出場した時だった。「これがゴルフの試合なんだと、カルチャーショックを受けました。そうしたらやる気が出てきた」という。16年に予選会に挑戦、17年から日本のシニアツアーに参戦し、2年目で初勝利を挙げた。
「若いころに日本でトライしなかったのを後悔しています。韓国ツアーのシード権を持っていたのでぬるま湯にいた」という。昨年はすまいーだカップで2位になったが「韓国はラフが短いので、日本の長いラフに対応できなかった。1年やって、よくなってきた」と、自信がついてきた。
優勝賞金1200万円。これは優勝した韓国レギュラーツアーの賞金の2倍に当たりるといい、自身最高獲得賞金になった。「去年、日本と韓国のシニアで稼いだのが2000万円ほどで、年間獲得賞金の自分の新記録でした。今年はこれで記録更新ができそうです」といい「1勝を達成したので、次は2勝目を目標にします」というのが今後の抱負。ゴルフは遅咲きだったが、勝利数、獲得賞金はこれから右肩上がりに成長を続けるかもしれない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)