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シニアツアー

〈FANCL CLASSIC 前日〉池内は父として、プロとしてツアーで戦う姿を息子に届けたい

2018年08月16日

 大会二日前の14日、火曜日に行われた「ファンケルクラシック予選会」には62人の選手が出場し、成績上位5名の選手に本戦出場資格が与えられた。

 6バーディー・2ボギー68で回り、一昨年に続いて「予選会第1位」に輝いたのは池内信治。「先週は1回もラウンドせず、月曜日の練習ラウンドが久しぶりでした。最近はアンダーパーのスコアを出せていなかっただけに、僕自身が(予選通過に)驚いています。奇跡ですよ」。

 難病の特発性間質性肺炎を患い、今年1月末に外科手術で肺の3分の1ほどを摘出。その後は投薬治療を続けている。3月に開かれたシニアツアー出場予選会・最終予選にはラウンド数4回という「ぶっつけ本番」同然で臨み、70位に終わった。開幕戦の金秀シニアには09年大会覇者だったことから推薦出場したものの、それ以降はツアーに出場できずにいた。自ら手に入れたツアー出場切符だ。

「トレーニングと毎日500球の打ち込みで、体がだいぶ動く様になって来たら飛距離が戻り出したけれどショットの曲がりも大きなってしまって(苦笑)。ボールコントロールが上手く出来なくてね。期待せずに予選会に出たのが良かったのか、(10番ホール)スタートから2連続バーディーが取れたんだ。5人枠に入るには60台のスコアが必要だと思っていたので、バーディー先行はスコア的にも精神的にも余裕が出来た。難しいホールのティーショットがすべてフェアウエイをキープできたし、アプローチもパットもうまく行ったんだよ」

 12番ホールから16番ホールまでアプローチとパットが冴え渡ってのパーセーブ。17番パー3ホールでは、そのご褒美のように8メートルのパットが一発でカップに沈んでくれた。しかし、18番パー5ホールで痛恨の3パットを打ってしまった。前半2アンダー。「カウントバック方式だから、いくら17番でバーディーを取っても18番のボギーでは勝ち残れない。だから、バーディーをもう一つは奪わないといけない」。池内は自分にプレッシャーを掛けて後半9ホールに挑んだ。

 13ホール目の(4番)パー3。風向きを読みきれず、グリーン手前のバンカーに捕まった。ピンまで15ヤード。ボギー必至の状況に陥る。サンドウェッジで振り抜いたボールは思い通りの弧を描き、落下後は吸い込まれるようにしてカップへ消えた。会心のショットインバーディー。「ボギーでも仕方ないと半ば諦め掛けていたけど、それがバーディーだなんて…3アンダーにまでスコアを伸ばせたことで余裕が生まれました。16ホール目でバーディー、17ホール目ではボギーを叩いたが、最終ホールでは再び2メートルのバーディーパットをねじ込み、4アンダーでフィニッシュしたのだった。

「実は来週、息子(慧・けい)が最終PGAプロテスト受験で登別へ行くんですが、僕も練習ラウンドに付き合うため、北海道へ渡ります。そんな息子に予選通過したことを連絡したら、喜んでくれた。自分のためにも息子の餞(はなむけ)のためにも本戦3日間も頑張りますよ。ゴルフができる、試合に出られるって本当に幸せです」

 プロゴルファーとして、親父として、ツアーで戦っている姿が息子への最高の激励になる。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)

※2014年スターツシニアでは息子と一緒に優勝の喜びを分かち合った