思わぬ落とし穴が待ち受けていた。1番パー5ホール。優勝候補筆頭のプラヤド・マークセンはツーオンを果たし、グリーンに上がった。イーグル奪取でのスタートか。だが、マークセンは3パットのパーでホールアウトしたのだった。ゲームプランが大きく崩れたに違いない。
これで流れが悪くなりそうだったが、続く2番ホールで1メートルのパットを着実に沈めてバーディー。4番ホールでは7・5メートルのバーディーパットが決まった。6番パー5ホールは同じ轍は踏まず、2オン2パットのバーディーとした。
マークセンは本来のゴルフを取り戻したかのように、9番ホールから3連続バーディーを演じて見せたのだった。
「後半に入ってからは風邪と(全英シニアオープン帰りの)疲れが出てしまいました。それでもパーセーブが危ぶまれたホールでのパーパットを沈める集中力は持ち合わせていましたね」とマークセンはニコリと笑った。
昨年大会は連覇を逃したが、2年前の優勝では今回と似て、海外遠征帰りと風邪を引きながらのラウンドで大会制覇。何よりも心強いのは全英シニアオープンから使い始めた新ドライバーだ。「前ドライバーよりも10ヤードも飛距離が伸びました。300ヤードは飛びますからね」。
大会前日のプロアマ大会2番ホール・319ヤード。気持ちよく振り抜いたドライバーはグリーンを捕らえた。同組のハウスキャディーは「ワンオンしたのを初めて見ました」と驚いたという。「明日の2番ホールはグリーン右サイド方向へ打ちますよ。安全に攻めるつもりですから」とマークセン。すでにコース攻略プラン、逆転への青写真は出来上がっているのかも知れない。国内シニア2試合連続Vに照準を絞り込んだキング・オブ・シニアが、新ドライバーの威力をどのホールで見せつける花芽、楽しみになって来た。