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シニアツアー

〔熊本・阿蘇シニア・FR〕室田淳がシニアツアー通算20勝目で通算最多勝利数を更新

2018年07月29日

 室田淳(63)が最終18番のバーディーで抜け出し、通算13アンダー131で今季初勝利、シニアツアー通算20勝目の区切りの優勝を達成した。1打差でこの日64をマークした山添昌良(50)と清水洋一(55)、白浜育男(59)、溝口英二(53)、金鍾徳(57=韓国)、水巻善典(59)の6人が入った。

 室田にしては派手な幕切れシーン。最終18番パー5のグリーン横のボードには室田を含めて首位に通算12アンダーでずらりと6人が並んでいる。11アンダーで同組の清水洋一もいる。バーディーを取らなければ少なくとも6人のプレーオフ。室田は第2打でグリーン奥にこぼしていた。

 アプローチは「寄せようと思ったらショートする。25、26ヤードだったかな。その距離を打とうと。寄せようとは思わなかった。ちょっと引っかかったけど」と、カップまで3.5メートルと寄り切らなかった。ただ、ツキはあった。「一番好きな下りのフックライン。勝つ時っていうのはそういうふうになっているのかなあ」。しっかり沈めて、万歳からサムアップ。喜びを表現した。

 「12アンダーがたくさんいて、大変だなあと思った」と笑う。最後の最後で抜け出しての優勝は、自らが持つシニアツアー通算最多勝利数を更新する20勝目の区切り。優勝スピーチでは「1991年にプロ初優勝をしたのが阿蘇。シニアの20回目の記念の優勝も阿蘇。うれしく涙がたくさん出そうなんですけど我慢します」と笑わせた。1991年に勝ったブリヂストン阿蘇オープンが行われたのは阿蘇GC(当時)。縁のある土地になった。「区切りの記録をなかなか達成できないと考えなくていいことまで考えてしまう。早く達成できてよかった」と話した。

 首位タイの3人、清水、平石武則との最終組。清水が伸ばし、10番を終えて12アンダーで抜け出していた。しかし、14番パー 5でティーショットに3番ウッドを使ったのを見て「内容がよかったのに、あそこで3番ウッドを使うのはだめだなと。取らないと勝てないんだから」と、清水の選択が弱気に映った。室田がこの14番で1メートルのバーディーで12アンダーに追いつき、17番で清水がバンカーの目玉になってボギーとして逆転した。未勝利の清水との試合の流れを読む経験の差が出た。

 ここ2年ほど悩まされている腰痛が、今大会も大きな不安材料だった。「今日も痛み止めの薬を2回飲んだ。ここには見せられないぐらい(湿布を)いっぱい張っている」と右腰をさすった。生活に支障はないが、ひねると痛むのが怖い。6月のスターツシニア初日に途中棄権、1週間安静後に「日本プログランドシニア ゴルフパートナーカップ」に出場し「丁寧にやったら優勝しちゃった」。次は日本シニアオープンだと意気込んで練習したら、今度はクラブが振れなくなって欠場。2週間休んでこの大会に出てきた。根本治療は難しく「不安でしょうがないけど、ごまかしごまかし」と、腰と相談しながらというのが現状でもある。

 「勝因の1つは、クラブのシャフトを全部軽くして新しくしたこと」と自ら切り出した。「重いと距離が出ない。全部10グラム軽くしたら(腰痛前と)同じ距離が打てた。見栄を張らずに、年寄りはアイアンのシャフトを軽くした方が飛ぶ」と、アマにも勧める。

 優勝副賞は肥後の赤牛1年分。この日は本物の赤牛が表彰会場につながれていた。1991年のブリヂストン阿蘇優勝の時も副賞でもらったが、その時は子牛だった。「大きかったね、今日は。けられるのが怖かったよ」と言いながらも笑顔で記念写真に収まった。次の区切りは30勝?「優勝を狙って初日から気合を入れてやるタイプじゃないから。初日、2日目のスコアを見て自然の流れでやってきた」。これからも「流れ」をつかむシーンがたくさんあるのだろう。

(オフィシャルライター・赤坂厚)