平石武則(58)が3年ぶりの勝利に向けて、室田淳(63)、清水洋一(55)とともに、7アンダー65で首位に立った。距離が短く、グリーンコンディションがいいこともあって、バーディー合戦の様相。1打差で白浜育男(59)、上出裕也(53)、溝口英二(53)が追い、4打差以内に30人がいる大混戦になった。
平石は、自分でもびっくりの快スコア。「うまいこと行きました。(優勝した)シニアオープン以来じゃないかな、こんなのは。7アンダーなんて、8バーディー(1ボギー)なんて、いつ以来やろ」。そんな、びっくりの言葉が並ぶ。
いきなりチップインからの幕開け。インスタートの10番でグリーン右奥に外したが、8メートルほどを入れるバーディー発進。12番でボギーにしたが「今日はショットがよかった。フェアウエーにずっといっとったんで」。距離が短いコースだけに各選手とも口をそろえるのは「フェアウエーに置くこと。置ければショートアイアンでチャンスを作れる」。平石はその通りのゴルフをした。
13番で1メートル、18番で2メートルを決めて折り返し、3番でも1メートル。確かにショットが好調だった。圧巻は6番から。6,7番で1メートルにつけ、8番では5メートル、9番では2メートルを入れて計8バーディー。明日につながる上がり4ホールになった。
パー4のホールで1オンを狙えるなど距離は短いが、狭い所もあるため多くのホールでドライバーを持たずに刻む選手がいる。「飛ぶ人は(パー4で)1オン、(パー5で)2オンを狙うんでしょうが、僕は1オンも2オンもしない。フェアウエーからしっかり打つ、ということしかない」という。パー3を除いて全部ドライバーを使っている。飛距離に合った「自分のゴルフ」に徹した形だ。
平石と言えば「甲子園優勝」がついて回る。1977年夏の甲子園で東洋大姫路(兵庫)のレギュラーとして優勝した。決勝の相手は東邦(愛知)で、1年生エースとして人気者となった「バンビ」坂本圭一投手を攻略した。今年は夏の甲子園は100回記念大会。「あの年の優勝は特別らしく、当時のことを取材にも来ましたわ」という。
自身にとっても特別。「シニアオープン優勝というと、へえーって言われるけど、甲子園優勝というと、子供からお年寄りまでわかってくれるので」と「肩書」への思いはある。
今年で2015年日本シニアオープン優勝による3年間のシード権がなくなる。現在賞金ランクは50位(149万1093円)。「長くゴルフをやりたいから、シード権を取りたい。今年は1200万円ぐらい稼ぎたい」という。優勝すればシード権が得られる。「そうなんですけどね」と笑い「ここがそのレベルじゃないよ」と腕をたたいて煙幕を張った。
(オフィシャルライター・赤坂厚)