「悔しかったなぁ」と谷口徹が、ひとこと呟いた。シニア初挑戦となる日本シニアオープンの試合前、マークセンに「2位にはなれるかな?」と聞いたら、マークセンは「イージー、イージー」と言って笑ったのだという。おそらく谷口の心境は「よし、勝ってやる」と思ったに違いない。第2ラウンドは、まだ谷口ペースで試合が進んでいた。ところが、第3ラウンドでは、いつの間にかマークセンのペースに変わった。
「自分の中で、勝ちたいという欲が強く出ちゃったのかも。期待されているしね。決勝ラウンドの2日間は、ティショットがうまくくいかず、風も読みきれなかったし、半信半疑で打っていたのだと思う」と反省する。前半では2つ落とし、後半も1つと落として通算イーブンパーの2位。優勝したマークセンとは結局5打差もついてしまった。
「(シニアの試合は)スケジュールが合えば、出たいと思う。自分でも最近期待度の高いところでやっていなかったから、優勝争いというか、勝ったらラッキーみたいなところ(レギュラーツアー)じゃなくて、シニアで優勝争いは結構面白かった試合。マークセンは、レギュラーツアーで戦っているときよりも、落ち着いているよね。自信かな」と、シニアの大会にも魅力を感じているようだった。
3日目が終わって最終日の抱負を聞くと「大丈夫、大丈夫。この調子なら」と言っていた金鍾徳も、やはり強い雨風には叶わなかった。「うーん。出だしの(2,3、4番の)3連続ボギーに尽きるね。今日は、すべてこれでダメになったね。もう、これだけ。負けた原因は、この3ホール」とぼやいていた。その後、7番ホールでバーディをとり、11番をボギーにするも15番でバーディー。最終ラウンドは2オーバーで回ったけれど、マークセン、谷口には届かず通算1オーバーの3位タイでフィニッシュとなった。
「でも、今日は楽しいゴルフだったよ。久しぶりに谷口さんと一緒に回ったし、谷口さんも、いいゴルフしてたよー。若い人から勉強させてもらったよ。自分にとって新しい発見があった。嬉しいこと」と体の故障も完治し明るい表情だった。この難コース、セッティング、風雨という中で、3位タイは大きな自信につながったはずだ。