朝の強い雨と寒さで、さらに厳しいコースコンディションになった最終ラウンド。2位に3打差をつけた形で、首位スタートしたプラヤド・マークセンは、1番ホールでバーディー奪取し、好発進。前半では3バーディー・1ボギーとスコアを伸ばしてハーフターン。この時点で2位の谷口とは7打差がついていて、他の選手を寄付けなかった。後半に入っても、マークセンは安定したプレーをみせ、このラウンドを70で回り、通算5アンダー、2位に5打差の王者ゴルフ。日本シニアオープンの3連覇を達成。3連覇は、金井清一(第1回~3回)と、青木功(第4回~7回)に次ぐ、史上3人目の記録となった。今季シニアツアーには4戦参加して、すでに3勝目と圧倒的な強さを示した。シニアツアーは通算で11勝目だ。
先週のレギュラーツアー・セガサミー(結果は48位タイ)から北海道には2週間滞在している。マークセンにとっては、北海道は涼しく過ごしやすいので、気に入った場所のひとつだ。97年のサントリーオープンで日本レギュラーツアーデビューして以来、マークセンは各地域で世話になっている人たちがいるが、北海道ではゴルフシーズンも短く、試合が少ない中でも、熱心にマークセンを応援しつづけている恩人がいる。今回はJGA3大オープン競技が、北海道ではじめて開催されたということもあり、連覇をかけた熱い思いを恩人にささげたいと思いながら、マークセンは試合に挑んでいた。
最終組のスタート前。マークセンは土砂降りの雨と風の成り行きが気になっていた。だけど特別な思いを胸に秘め、イーブンパーを目標に、我慢を続けた。この日は、4日間で一番厳しいコースコンディションだったが、2週間前に参加した「全米シニアオープン」(コロラド州ブロードモアで開催、52位タイ)のコースコンディションや、グリーンの速さが似ていると感じとった。「全米でも屈指の難しさだったと思います。そのときの戦い方を思い出しました。そのときの経験がアドバンテージになりました」とマークセンは振り返った。
実は、マークセンには、この優勝と同じくらい嬉しいことがあった。「去年の日本シニアオープンで、優勝を一緒に喜んだ息子(アイス君)が、今日、母国のタイで出家したんです。タイでは出家することが、伝統を重んじるということでもあり、家族のつながりが強くなって本当に嬉しいことなんです」と顔をほころばせた。タイでゴルフのレッスンプロをしていたという息子が、出家をして人生の新たな一歩を歩みだしていた。家長・プラヤドとしては、日本でプロゴルファーとしての務めを、きちんと果たすことができた。「大好きな息子に、父としての威厳を示すことができたことが嬉しい」と繰り返し話し、この喜びを伝えた。
最後にマークセンは、「今年もまだまだ優勝したい。シーズン中、あと2、3回は優勝できるように、頑張ります!」と目標を立てた。「3年連続シニアツアー賞金王も狙っていきたい」。