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シニアツアー

<すまいーだカップ・FR>山添昌良(50)が最終18番で久保勝美(55)を逆転、今季2勝目

2018年06月02日

 山添昌良(50)が最終18番で久保勝美(55)を逆転、通算11アンダー205で今季2勝目を挙げた。絶妙のバンカーショットでバーディーを奪い、ボギーとした久保をかわした。1打差2位には久保のほか、飯塚信太郎(50)、パク・ブーウォン(52=韓国)、スティーブン・コンラン(52=オーストラリア)が入った。シニアデビュー戦の伊澤利光(50)は通算3アンダーで26位だった。

 「これ入れたらひょっとして優勝かもと思ったら、手がしびれてしまって」。1打差で追っていた久保が先にパーパットを外して、1メートルのバーディーパトを決めると優勝、の最終18番パー5。まっすぐ打った。入った瞬間、天を仰ぎ、近寄ってきた久保と握手を交わした。

 「信じられないです。ありえない。怖いです」。優勝会見でまず吐き出した言葉。開幕戦金秀シニアでは、推薦出場でのチャンスをものにしてシニア初優勝を飾った。1カ月後、今季3試合目でツアー2勝目。「今まで優勝とは無縁できたので」と、本人が一番驚いている。

 この日も「伝家の宝刀」の威力は健在だった。契約先の帽子の横に刺しゅうされている「反撃だ。」の文字。前日も首位を走る久保に後半に入って帽子を取って見せ、最終18番で逆転して首位に立った。この日は「切り札をここで見せないと」と、16番を終えて通算11アンダーの首位久保に17番で帽子を見せた。「見ないようにしていたんだけど」と笑う久保。1打差のまま来た18番でまたも逆転のドラマが起きた。

 先にティーショットを打った久保のボールは左の林の中へ。「池は嫌だったので、右サイドの決めたところに打つ」と3番ウッドでのティーショットは突き抜けて左のラフにつかまった。「久保さんはパーを取ってくる。バーディーを取ってプレーオフになれば最高と思ったので、グリーン右のバンカーを狙った」と、第2打でグリーン右手前のバンカーへ。林から出した久保は第3打を同じバンカーに入れ、先に出したがピンまで5,6メートルを残した。

 山添がバンカーに入れたのは「得意だから」という理由がある。以前からスイングに迷ったらバンカーショットで直してきた。「バンカーショットだと、スイングのバランスとか、振り方とか、砂の音とかで分かる。調子が悪くなるとバンカーに戻るという感じでした」と、自信を持っていた。ピン1メートルにつけて久保を待つ。久保が外してボギー。入れたら逆転優勝の場面を作った。

 小3からゴルフを始め、中2の時には「やっていた野球がへたくそだったんで」とゴルフのプロになることを決めたという。大阪・富田林高卒業後、関西のゴルフ場で練習し、20歳の時に埼玉・鳩山CCの研修生になった。23歳でプロテストに合格。そのころから、同じ埼玉県内の高根CCにいた久保とは仲良くしている。「遠い親戚でもあるんです」という間柄だからこそ、ジョークで「反撃だ。」の帽子を見せたりもできた。

 レギュラー時代は「思い通りにはいかなかった」と振り返る。1992年から2007年までで、もっとも賞金ランクがよかったのは1998年の106位(687万540円)と、言葉通り、思うような成績を残せなかった。昨年シニア入りしたが、4試合で賞金ランク71位、今年の最終予選会でも48位と思い通りにいかないプレーは続いたが、金秀シニアの優勝で一変した感じだ。

 「ここまでのゴルフができるとは思っていませんでした。今年は3戦2勝…今日の最終組だって初めてですし、試合に出られる喜び、ツアーに加われるだけで感謝ですし」と、突然の「開花」にも本人が一番驚いている。

 優勝賞金1000万円を手にした。金秀シニアでは450万円。今季獲得賞金を1496万7500円で賞金ランクトップに躍り出た。今季はあと何勝ぐらい?「考えられないですよ、本当に」と戸惑いをみせる。優勝後、家族には「テレビで録画をしておいて」と頼んだという。

(オフィシャルライター・赤坂厚)