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シニアツアー

【金秀シニア・FR】プレーオフ決着の末、山添昌良が悲願のシニアツアー初優勝

2018年04月15日

 シニアツアー開幕戦はプレーオフ決着の末、シニア2年目の無シード選手・山添昌良(50)が羽川豊(60)を破り、悲願のシニア初優勝を飾った。

 首位と4打差の2アンダー・8位タイからスタートした山添は、前半でスコアを一つ伸ばす。後半も風雨が強まる中、2バーディー・1ボギーとさらにスコアを通算4アンダーとして迎えた最終18番パー5ホール。3打目をピンそば1メートルにピッタリ寄せてバーディーを奪取し、4バーディー・1ボギー69の通算5アンダーでフィニッシュ。すでにホールアウトしていた首位の羽川に並び、プレーオフの権利を掴み取った。

 シニア入りした昨年は4試合に出場して賞金ランキング71位。その経験から「高弾道のドローボールを打っていましたが、弾道を低くしなければ風に対応出来ず、シニアで戦っていけない」(山添)と感じてスイング改造に取り組んだ。しかし、スイング改造がままならない中、今年のシニア出場最終予選会を迎え、結果は48位に終わってしまったのだった。「この順位では試合には出られそうにない」。出場資格に飢えた。幸いなことに開幕戦の推薦出場を得られたことで山添のモチベーションが高まった。「大好きな沖縄でプレーが出来る」。

 プロ転向したのは1990年。ツアーデビュー戦となったのは、奇しくも沖縄県で行われた同年の大京オープンだった。その時以来、長年親交を温め来た長浜健一さん(54歳)に帯同キャディーを依頼すると快諾してもらえた。心強い味方が出来た。

「コースを熟知していて、風の読みもグリーンの芝の読みも完璧なので安心してショットに臨めました。それに毎冬、この開催コースかねひで喜瀬CCをラウンドしていましたから、さらに不安はありませんでした」。山添は用意周到で開幕戦を迎えていたのだ。

 改造したスイングでイメージどおりのショットを打てるようになったことも幸いした。風が吹き荒れた初日は6バーディー・2ボギー・1ダブルボギー70。最終日はボギーを一つに留め、4バーディーを奪取。勝利を呼び寄せたのは13番パー4ホール。ストローク難易度1。平均ストローク4.869の最難関ホールだ。最終日にバーディーを奪った選手は山添を含めてわずか2選手。「グリーン右サイドピンに対してパーオンショットがわずかに反れましたが7、8ヤードの寄せを上手く打ってチップイン(バーディー)できたのが本当に大きかった。続く14番ホールで下り1メートルのバーディーチャンスに着けたのですが、速報版で2位であることを知り、もしかすると勝てるかも?と思ったら手が動かくなりました。今日、一番シビレたパットでした」。

 チャンスを逃したことで、逆に自分を取り戻すことが出来た。18番パー5ホールで行われたプレーオフ1ホールめは4オン1パットのパー。同2ホールめは3オン2パットのパー。そして同3ホールめではツーオンに見事成功し、イーグルパットは決めきれなかったが、上り1メートル、スライスラインのウイニングパットを沈めて、右拳を握りしめた。

「こんなチャンスはないと思ってはいましたが、まさか本当に勝てるなんて…」。

 PGAシニアツアー競技優勝者には「翌週からその年度末までと翌年1年間シード権」が認められる。「出場権を得られてホッとしています。試合に出られる有り難みを改めて感じています」。

 シニアツアー出場5戦めで宿願・悲願・念願の優勝を手にした山添。優勝者スピーチでこう語った。「大好きな沖縄で、大好きな喜瀬CCで勝てて本当に嬉しいです」。

 喜瀬の風は、山添にとって追い風だったのかも知れない。今度は、山添がシニア界の新風となる。 (PGAオフィシャルライター 伝昌夫)