10番ホール第11組でスタートした加藤仁は、前半9ホールをすべてパーにまとめてハーフターンした。「バーディーチャンスは入りませんでしたが、寄せワンのパットは入ってくれました。『ああ、今日はこんな日なんだな。残り9ホールもすべてパーでいいや』って思ったほどです」と加藤は振り返った。
後半9ホールでは、5番ホールで4メートル、7番ホールで1・5メートル、最終9番ホールでも1・5メートルのバーディーパットが決まった。結局3バーディー・ノーボギー69でフィニッシュし、首位と3打差の2位タイの座に就いた。
「練習ラウンドから実はタッチが合っていたんです。例年、秋になると長尺パターを使い始めるのですが、今年は35インチのパターで通そうと思っています。
今日はドライバーショットがフェアウエイをそこそこ捕らえていたし、アイアンショットも悪くはなく、酷いピンチはありませんでした。
風は目まぐるしく変わっていましたから、運次第だと割り切ってショットに臨み、読みとは逆の風向きにはならなかったのがラッキーでしたね。
練習仲間からは『練習のし過ぎ』と誂われ半分でよくそう言われているので、昨日は少し控えました」。
囲み取材中、その練習仲間の一人である真板潔が通りすがりに声を掛けた。「今日も練習し過ぎるなよ。練習マグロなんだから」。
加藤はハニカミながら「練習しないと落ち着かないんです。だから少しは打ち込みますけど」と本音をこぼした。
今オフは4スタンス理論を作り上げた廣戸聡一氏のゴルフ合宿に3日間ほど加わり、フィジカル面を強化。体の使い方を改めて学び直して「頭の中がシンプルになった」という。
首位と3打差で迎える明日の最終日。「最終組だと何かとプレッシャーを受けるので、1,2組み前で回れる方がいい。(優勝)チャンスはそうそうないので、何とかしたいですね。次試合の出場資格はなく、ウェーティングなので」。練習マグロがシニア初優勝を飾って大魚と化すか。勝負の18ホールだ。