大会会場である宝塚クラシックゴルフ倶楽部から自宅までは、車でわずか15分。地元宝塚市を愛し、住み続けてもうすぐ30年が経とうとしているのが、中村通(68・ゴールド)。ツアー通算20勝を飾っている大ベテラン選手のひとりだ。仲良しのプロたちと、澄み渡る空の下で終えた練習ラウンドは、とても気分が良かった。小林浩二(60・グランド)、山田桂三(67・ゴールド)、そして幼稚園から一緒に人生を歩んでいるという山本善隆(68・ゴールド)と一緒に、心地よい汗をかいていた。
「こうやってゴルフができて、試合に参加できることが、ほんとうに幸せです」と中村はしみじみ話した。多少、体の節々が痛むことがあっても、大きな怪我をすることもなく、ここまでやってこれたという自負がある。今年は地元宝塚で、日本グランドゴールドというPGA公式戦にも参加することが叶った。「関西ならではのコースで、とても面白いコースセッティングです。グリーンは硬くて、よくしまっている。砲台グリーンが多いので、ショートアイアンできちんと攻めないと、スコアにつながらないから、集中して挑まないと」と、緊張もつのる。
一緒にラウンドを行った仲間たちはドライバーショットが得意なので、中村のティーショットを悠々越えていくこともしばしばだった。しかし、スコアメイクでは中村もプロ根性で反撃していた。「ゴルフは飛距離も必要なときありますけどね、(中村)通ちゃんは、とても繊細なプレーと技を持っているから、上がってみるとスコアではいい勝負。性格はまったく正反対。だけど、お互いの技を見て盗んで、いい刺激になっているんですよ」と、山本は中村との関係を語ってくれた。
「地元・宝塚でいいプレーを見せて、少しでも上位にいけたら恩返しができるかもしれませんね」。中村は微笑んだ。明日、ゴールドシニアのスタートを、ワクワクしながら心待ちにしている。