通算9アンダー首位で最終18番パー5ホールを迎えた室田淳。ドライバーショットはフェアウエイセンターを捕らえた。最終組で一緒に回っていたソク・ジョンユルは通算8アンダー。室田とは1打差。ソクのドライバーショットは芯を食わず、トップ気味の当たりだった。
ツーオンを狙ったソクの2打目はピンまで265ヤード。ボールはグリーン手前28ヤード地点に止まった。
室田の2打目はグリーンエッジまで247ヤード。ソクの2打目からして3番ウッドでグリーンは捕らえられる。ホールに吹いていた風と同じく、試合展開は室田に追い風のようだった。しかし、室田の2打目は低く打ち出され、グリーン手前の池に波紋を描いた。「トップボール? 池ポチャ? 何故だか分かんないよ」。痛恨のミスショット。室田は首を傾げるほどの一打だった。池の手前でドロップしての4打目をピン奥2・5メートルに寄せた。パーセーブの可能性を残した。
一方のソクの3打目。イメージしたランで寄せるショットを上手く打てなかった。ピン手前6メートルに乗せただけだった。緩いフックライン。それを決めてバーディーフィニッシュ。通算9アンダーとして室田を捕らえた。決めればプレーオフとなる室田のパーパット。ボールはカップをすり抜けた。室田の勝利も土壇場ですり抜け、ソクにシニア初優勝が転がり込んで来たのだった。
「どんな試合展開になっているのか、速報版が少なかったからよく分からなかった。最終組の僕たちがスコアを落としていたから、前の組の選手の誰かがスコアを出しているだろと…」。室田は自分が単独首位であることを知らず、ツーオンを狙ったことを悔やんだ。「乗せようと力が入ってしまったんだろうね」と池ポチャショットの原因をそう解説してもみせた。
「日本のシニア選手は皆ショートゲームが上手い。それがスコアを出すコツなんだとこの1年、ツアーに参戦して感じました。自分に足りないものをこれから練習して補って行きたいです。それと気持ちの起伏を作らないようにプレーするようにもしたいです」。優勝インタビューでソクはこれからの課題を挙げ、2勝目に関しては「(優勝)する努力をする」とユニークは返答をしたのだった。
今年は日本シニアを主戦場にし、オープンウイークは韓国シニアへ。さらにPGA資格認定プロテストを受験するという過密な日程だった。「早く家に帰って、自由な時間を過ごしたいです」と本音をポロリと珍しく漏らしたのだった。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)