首位スタートのタワン・ウィラチャン(52)が5バーディー1ボギーでさらにスコア伸ばし、2位に6打差と大差をつけて通算16アンダーで大会初優勝、シニア通算3勝目を挙げた。そして鈴木亨(53)が66をマークし単独2位に入った。ウィラチャンは優勝賞金を加算すると、現在賞金ランキング首位のマークセンとの差が約50万円となる。マークセンは残り試合を欠場するため、あと2試合でウィラチャンが賞金王へ王手をかけた。
1万4000円が本当に1000倍になって返ってきた。
タワン・ウィラチャン(52)が最終日も4つ伸ばす通算16アンダーの大会記録をマークし、悠々と逃げ切り優勝を果たした。今季2勝目、通算3勝目を挙げ、優勝賞金1400万円をつかんだ。
「ラッキーでした。今週初めて使うドライバーだったり、パターも替えたりの中で、ドライバーが悪かったらパターが良くて、パターが悪かったらドライバーが良くて・・・そんな中で噛み合ったのが幸運でした」。ウィラチャンは、圧勝となった3日間を振り返った。
賞金王を争う賞金ランク1位のプラヤド・マークセン(53)とは6打差、獲得賞金では約1144万円差で最終組での直接対決。3番でバーディーが先行したウィラチャンは「フェアウエーに打つ、グリーンに乗せる、それだけに集中していました」と、大量リードを意識したプレーに没頭した。
マークセンは1番でバーディーを奪ったが、3番のボギーで差が開いてしまった。「ウィラチャンが行ってしまったので、僕は2位か3位くらいに設定していた。ウィラチャンは僕よりドライバーが良くて、パターも良かった」と、ウィラチャンの言葉を証明した。7、8番で連続バーディーを奪ったが、インに入ると「ドライバーがフェアウエーにあまり行かなくなった」と、バーディーを取ってもすぐにボギーと伸び悩んだ。
一方のウィラチャン、後半は「ドライバー1本分」という距離につけた10、15番でバーディーを取り、インはボギーなし。完璧と言える逃げ切りだった。アプローチでのパーセーブが4回と、終わってみれば2位鈴木に6打差、マークセンには8打差の圧勝だった。
マークセンは、今季シニアツアー最後の試合となるだけに、賞金ランクの逆転までは許したくない。単独5位以内に入らなければ、目の前で優勝と賞金王の両方を持って行かれる。「ストレスやイライラはなかった」とウィラチャン独走で逆転優勝を早々にあきらめたのがよかった。鈴木、レーンに抜かれたが、4位タイを確保。今季賞金を4697万8478円として、ウィラチャンに50万円弱の差ながら4年連続賞金王への望みを残して、今季を終えた。
今季2試合を残して4648万4525万円で追うウィラチャン。約50万円差は容易に逆転できるのでは?「今は何も言えないです。いいプレーができるかどうか分からないし、これから寒くなる。寒いのは苦手なので」とけむに巻いた。日本に先に来たマークセン先輩とは「友達であり、いいライバルの関係」という。日本の選手を紹介してもらったり、コースの攻め方を教えてもらってきた。「今度、しゃぶしゃぶをご馳走します」と笑った。
大会前に中古ゴルフショップで買った1万4000円のドライバー。手に取って「買いたいな」といわば衝動買い。練習上で10球打って、試合で使ったこの「投資」が当然話題になる。「昨日、その話になって、今日は1000倍にしたいと思っていました」と笑った。
日本ツアーで勝つと、タイのメディアから取材の電話が入るという。「今回もバンコクポストやスポーツオンラインニュースの担当から電話が来ると思います」。ぜひ、1000倍にした夢のような話をタイのファンにも伝えてほしい。
(オフィシャルライター・赤坂厚)