NEWS
シニアツアー

〔福岡シニアOP・FR〕23ホール連続ノーボギーゴルフだった塚田が単独2位

2019年10月27日

 ジリッ、ジリ、ジリリ。ゼンマイの螺子をしっかりねじ込むように、ホールを重ねるごとにプレーを引き締めて行く。そんなラウンドだった。通算2アンダー・11位タイから発進した塚田好宣は5番パー4ホールでバーディーを先行させる。8番パー4ホールではカップ30センチに着けるベタピンショットでスコアを二つ伸ばし、通算4アンダーとしてサンデーバックナインに向かう。

「カップ位置といい、グリーンも難しく感じたので皆、スコアを伸ばせないかも知れないと思いました。それでも上位者は10アンダーくらいまでは伸ばすだろうから、せめてトップ5には入りたいと考えていました」。実際は、塚田だけでなく他の選手たちもスコアメイクに苦しんでいたのだった。

 首位スタートの白潟英純は、スタートホールで痛恨のOBショットを放ち、トップの座を明け渡している。試合展開は混とんとしていたのだ。

「僕は、ノーボギーで回ることをいつも目標にしているんです」。そのラウンド目標をこの日は着実に実践していた。12番パー3ホールで4メートルをねじ込み、14番パー4ホールでは5メートルのバーディーパットをカップに沈める。前日はスタートの1番パー5ホールでイーグル奪取発進し、12番ホールでのバーディー奪取後、13番パー4ホールでボギーを叩いた。そのボギー後からはパー以下のスコアで回り、この日の16番ホール終了時点まで計21ホール連続のボギーなしゴルフを展開するほど塚田のプレーは安定していた。17番パー4ホールで5つ目のバーディーパットを決める。

 迎えた最終18番パー5ホール。気がつけば首位に2打差に詰め寄っていた。試合展開次第ではシニア初優勝を手にできるチャンスが巡って来ていた。

「ティーショットを左ラフに打ち込み、2打目は前方の木がスタイミーになる状況だったのでレイアップしました。3打目はピンまで70ヤードの距離でした」と塚田は振り返る。サンドウェッジを選択し、ボール位置後方で2度、3度と素振りを繰り返す。

(ヘッドが少し突っ掛かる感触がある。逆目か…)。

 逆目に負けないようにインパクトを強めたのではグリーンをオーバーする可能性が高まる。そんな思いがほんの少しだけスイングスピードを緩めさせた。その分だけ、ボールはショートした。通算8アンダーを狙った5メートルのバーディートライ。ボールはラインに乗った。だが、カップ手前でわずかに反れ、ボールはカップ縁でクルリと円を描き、弾かれたのだった。

 「昨日は長めのパーパットが入ったし、今日は同じくらいの距離のバーディーパットが決まってくれたのが大きかったですね。(優勝には)せめて8、9アンダーでなければ届かない。勝てなくて残念というより、7アンダーまでスコアをよく伸ばせた、頑張った観が強いです。本音は、ホント勝ちたいですよ」。塚田は一瞬、苦笑いを浮かべた。だが、18ホール・ノーボギーだったことを告げると頬を緩めた。「前日からだと23ホール連続ノーボギーゴルフですよね。来週のオープンウイークはショートゲームの練習に時間を費やします。でっかい試合が控えていますしね」。塚田は通算7アンダーで単独2位の座を射止めたのだった。

 11月7日から3日間、茨城県の江戸﨑カントリー倶楽部で開催される富士フィルムシニアチャンピオンシップ(賞金総額7000万円・優勝賞金1400万円)。最終ホールでの詰めの一打を寄せ切れなかった悔しさをバネに、ショートゲームに磨きを掛けて臨む。シニア初優勝の照準をジリ、ジリリと塚田はすでに絞り始めた。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)