2年前の本大会第1ラウンドでは、5アンダーをマークして首位タイ発進を遂げた。だが、最終ラウンドではスコアを伸ばし切れず、2位タイに終わったのが地元・福岡県出身の白潟英純だ。
あれから2年。以前の白潟とは違う。念願のシニア初優勝を公式戦の「日本プロシニアゴルフ選手権」で飾っただけに、今大会は「凱旋出場」ともいえる。
「優勝するって、やっぱりいいですね。地元開催もあって会う人、すれ違う人から『おめでとう』って手を差し出され、握手を求められる。気分はやっぱり良いですよね」と目を細めた。勝利の余韻に再び浸かりたい思いは強まる。
スタートホールでバーディーが先行したものの、4番ホールでティーショットをミスし、寄らず入らずのボギーを叩いた。しかし、続く5番パー4ホールで2打目をカップ30センチにピタリと着けてのバーディー奪取で見事バウンスバンク。9番ホールで3メートルの決め、前半を2アンダーでターン。後半に入って勢いはさらに加速する。
10番ホールで5メートル、11番ホールでは1・5メートルを確実に決めての3連続バーディーでスコアを伸ばす。14番パー4ホールでは残り108ヤードの2打目を52度のアプローチウェッジでカップに直接放り込んでのショット・イン・イーグルを達成した。15番パー4ホールではこの日6つ目のバーディーを奪ってフィニッシュ。1イーグル・6バーディー・1ボギー65、7アンダーで白潟は単独首位スタートを切った。
天候は晴れ。気温22・6度ながら、西北西4・7m/sの風がコースに吹き付けた。出場選手116人中、アンダーパースコアをマークしたのは27人。その頂点に白潟は立ったのだ。
「今日の風は、いつもの風でしたから、気にはそうなりませんでした。このオフにも4、5回はラウンドしています。(九州産業)大学ゴルフ部時代はコース近くに下宿していた地元ですから、(2勝目を)ここで挙げられたら何よりもの恩返しになりますよね。2日間競技という短期決戦ですから、とにかく僕が頑張っている姿を見せて、できれば……かな」。……には、もちろん優勝の二文字が入る。開催コースには慣れ親しんでいる。コースの隅々、グリーン面の癖を知り尽くしている。白潟の雄姿を一目見ようと明日の最終日はさらに多くの地元ギャラリーが押し寄せるに違いない。スタート前から、再び握手攻めに遭うだろう。
「嬉しいことです。それに握手することによってパワーを頂けていると思うので」。2年前の大会時と比べて、ひと回りも二回りも大きく成長した白潟が、胸を張ってみせた。シニア初優勝した自信が、さらなら飛躍へのスプリングボートと化している。その証を示すのが、明日の18ホールだ。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)