寺西明(53)が、通算14アンダーとし、逆転でツアー通算3勝目を挙げた。
「最高ですよ、プロになって3勝目。初めての逆転優勝ですし。(スタート時に)4打開いていて、いつかチャンスが回ってくるという気持ち、準備をしながらでしたが、まさか…プレーオフになると思っていたんですが」と笑顔を見せた。
首位ソクに4打差の6アンダーからスタート。前半は最終組の奥田が伸ばし、ソクがついていくという展開の中で、寺西も差が開かないようにスコアを伸ばしていった。8番で5つ目のバーディーを奪って11アンダーに浮上。9番で右に外しボギーにして後退したが、ミスと言えるのはこのホールだけだった。13番で林から5番ウッドで出し、9アイアンで4メートルにつけてバーディーを奪って、ギアチェンジした。14番で2メートルを入れて加速。15番では右1.5メートルにつけ、16番で手前4メートルを入れて4連続バーディーで一気に上位を抜き去り、通算14アンダーで首位に躍り出た。
最終組の1組前でホールアウト。首位に並んでいた奥田を練習グリーンで待った。「上で見ていたら(奥田が寄せて)プレーオフに行こうと言っていた。(3パットになって)勝つ時はラッキーがないと勝てない。努力が無駄になっていないと、改めて感じました」と振り返った。
朝早くに来て練習し、終わっても最後まで残って練習する。これは、自身が経営する会社にも関係がある。「従業員が仕事をしている時間帯は練習するようにしているんです。従業員は朝8時から夕方5時まで働いていますからね。よく練習するって言われますけど、世間一般では普通ですから、従業員が仕事をしている間はなかなか帰りづらくてね。後押ししてもらっていると思っています」と、感謝する。
今大会、ドライバーを思い切って替えた。これまでとは顔の違うヘッド、シャフトも先調子から中調子にした。長さも42.5インチから45インチに長くした。プロにとってはまったく異質のものを握っている感じになりそうだが?「全英シニアオープンに行くときにエースドライバーが割れて、そこから迷宮にはいってしまった。ここ一番で曲ってしまって、なかなか勝負できなかった。思い切って替えてよかった。はまりましたね」という。スイングも全英シニアオープンで世界の名手たちを見て「感じるものがあった。これじゃあかんと思った」と、少しずつ、少しずつ、マイナーチェンジしているという。シニアツアー参戦を目指して50歳でプロテストに合格、いまも進化の過程にあるようだ。
2017年最終戦いわさき白露で初勝利、昨年は最終戦の1つ前、ISPSハンダカップを制したが、ともに11月。3勝目は9月と、徐々に優勝のサイクルが早まっている。今後の目標は?「日本プロシニアに勝ちたいですね」。シニアツアーでは次の試合、10月10~13日、茨城・サミットGCで行われる公式戦を挙げた。「来年も世界にチャレンジしたいし、有言実行したい。あと何年ゴルフ出来るか、という考え方なので、悔いのないように、これで終わりやと思えるところまで頑張りたい」。今度は2試合連続優勝、しかも公式戦がターゲットになる。
(PGAオフィシャルライター・赤坂厚)