「試合の行方を決めるのは、やっぱりパッティングです。短めのパッティングの練習は好き。ショートゲームと合わせて2、3メートルのパッティング練習を中心にやっています」。ディフェンディングチャンピオンのタワン・ウィラチャンは、会場に現れると、すぐに練習グリーンで練習を始めた。ウィラチャンはボールを6つ使って、2メートル前後の距離のパッティングを連続で沈める練習を静かに続けていた。
先週の日本シニアオープンでは、ウィラチャンと谷口徹は一騎打ちになり、最後まで試合の行方はわからなかった。最終18番ホールで、ウィラチャンが先にバーディーパットを沈めると、谷口は1メートルほどのウィニングパットを強めに打ってしまい、カップをオーバー。谷口は返しのボギーパットを沈め、終わってみれば一打差で優勝を飾ったが、ウィラチャンも最後まで大健闘だったのだ。4日間通じて唯一アンダーパーで回り、やはり最後にきめたバーディーパットは2メートル弱。「自信になりました。収穫がありました」と振り返り、徐々に練習の成果が見え始めている。
とはいえ、今年のウィラチャンは日本シニアツアーを主戦場にしながら、海外シニアメジャーやアジアンツアー、そしてステイシュアーツアー(ヨーロッパシニアツアー)にも参戦。さらに、日本のPGA資格認定プロテストにプレ予選から挑戦し、先月の最終プロテストには見事合格。ここまで日本中、世界中を駆け巡っているので、休んでいる時間は全くない。「疲れているとはいいませんが、実は先週から右手がちょっと右ひじが痛くて、昨日は満足した練習ができませんでした。去年は5番アイアンで打てていたところが、3番アイアンの距離だったり・・・。去年と違う感覚もありますが、今のベストを尽くして、優勝できるように頑張ります」とウィラチャンは微笑んだ。
同じ練習グリーンでパッティングをしていた、ウィラチャンの友達・YOSHIこと塚田好宣がタイ語でのインタビューを手伝ってくれたが、塚田は「やっぱり、ウィラチャンはパッティングがすごく上手。今週も強いと思いますよ」と、そっと耳打ちしてくれた。今週は、現在賞金ランキング首位を独走するプラヤド・マークセンがレギュラーツアー出場のため不在。2日間大会で、優勝のチャンスを作るのは誰か。ウィラチャンがこのままの流れに乗るか。