「昨日もほんとにしんどかったんですよ。決して優位な戦いじゃなかった」。谷口徹が、シニアの初タイトルをようやくつかむことができた。1年前にシニアデビューを飾った日本シニアオープンでは、プラヤド・マークセンに完敗。シニア2戦目は、今年6月のスターツシニアだったが、倉本昌弘に完敗した。そして1年ぶりにリベンジする気持ちで挑んだ日本シニアオープン。谷口は4日間、首位を譲らず完全優勝という形で、2大会分のリベンジを果たしたのだった。
最終日は、同組タワン・ウィラチャンと我慢比べがつづき、前半から苦しい展開がつづいていた。3番パー4では1メートルのパーパットを決められず、ボギーが先行。5番をバーディーで取り返すも、7番をアイアンショットをミスしてボギー。9番でバーディーを獲りスコアスタート時に戻した。後半もウィラチャンとのせめぎあいが続く。ひとつでもスコアを落とすことは許されない。11番パー5では長めのパーパットをきっちり沈めてガッツポーズ。まだまだ気が抜けないホールが続く。13番パー3では、5メートルのダブルスネークラインを読み切って、ようやくバーディー。自然とガッツポーズが出た。2位ウィラチャンとの差も2つになり、谷口は「ここでとどめをさせたかもしれない」と確信した。
最終18番パー4。バーディーパットのときに「2打でいけば安全」と思っていたが、先に手が動いてしまった。パーパットは強めに手が動いてしまい、カップを1メートル弱オーバー。プレーオフという可能性もよぎったが、谷口は最後のボギーパットを丁寧に沈めて、1打差を逃げ切る形でシニア初タイトルを獲得した。
「シニアでは勝たないといけない。レギュラーツアーに出ているから、シニアでは絶対に勝たなきゃという、そういう期待が重圧になってきつかった」。シニアツアー出場3戦目でようやく優勝を飾るまでの道のりは、思っていたよりも長かったようだ。「狙って勝てるものじゃないので、優勝はうれしいです。シニアツアーは楽しいですよ。すぐに優勝争いができる。レギュラーツアーでは優勝への期待をされることもないけど、今回は優勝できたので、自信をもって挑みたい」。谷口の次の目標は、10月に福岡・古賀ゴルフクラブで開催する日本オープン優勝だ。「距離が短いから、(優勝の)チャンスがあると。ショートゲームが大事になってくるコース。今回優勝したので、(同一年でオープンとシニアオープン両タイトル獲得へ)新しいシナリオが始まりましたね(笑)。自分のペースで調子を上げたい。そして勝てるように、もっと技術を磨きたい」と、モチベーションを引き上げた。