第3ラウンドは、連日首位の谷口徹に、優勝へ独走態勢といった期待が集中していた。前半9ホールでスコアを3つ伸ばしたが、後半スコアを3つ落としてしまい、終わってみれば8アンダーとスタート時のスコアに戻っていた。「一回パットをひっかけてミスしてから、パットが入らなくなって。そこからティーショットも打てなくなって。やりたいことが右に行ったり左に行ったり」。それでも順位は変わらず、谷口は3日連続で首位の座を譲ることがなかった。同組のタワン・ウィラチャンは2打差2位につけている。
「ウィラチャンはすごくいいプレーをしてましたよ。チャンスを逃さないっていうか。アジアンツアーのレジェンドですからね(賞金王2回)。しぶといですよ。そんなに簡単には勝てないです」と、2打のリードを警戒する。
「ただ、去年のシニアデビュー戦より、重圧は少ないです。今年は、責任を全部手嶋多一に押し付けましたからね。初日にマークセンと回って、マークセンを落とした。デカした(笑)。そしたらウィラチャンが出てきましたけど。練習場で元気なさそうな人が、ビッグスコアで回ってきたりする。シニアは面白いですよ」。谷口はいろんな角度から、シニアを楽しんでいる様子がうかがえる。
「先輩たちとゴルフしていると、自分の10年後の姿を想像できないですよ(笑)。ただ、経験値とか実績とか、しみついたものは忘れないもの。だからゴルフが上手いんですよ。スピードや力じゃないんです。まとめるのが上手い。だから、最後まで油断禁物なんです」。
いよいよ迎える最終日。シニア初優勝、そして完全優勝の実現まであと一日となった。谷口は最後に「シニアで勝って、勘違いして、変な自信をつけて帰ろうと思っていますよ。気分良くレギュラーに帰って、日本オープンが楽しみです」と、ニタっと笑った。