「惜しかった!金星ならずでした」。一時はP・マークセンに2打差を着け、単独首位に立った白潟英純だったが、最後は横綱マークセンにうっちゃられて、2位に甘んじたのだった。
首位と2打差の3位タイ、通算3アンダーから出た最終組の白潟は1、2番ホールで連続バーディーを奪い、5,6番ホールでも連続バーディー奪取に成功。さらに9、10番ホールでのこの日3度目の連続バーディー奪取で通算9アンダー単独首位に立つ。12番パー4ホールではマークセンとともにバーディーパットを決め、2打差をキープ。14番パー5ホールでマークセンがこの日5つ目のバーディーを奪い、通算9アンダーとして1打差に迫った。優勝争いは白潟VSマークセンのマッチレースと化したのだった。
15番パー4ホール。マークセンのティーショットはフェアウエイ右サイドのバンカーの縁に捕まった。白潟は3番ウッドを手にした。安全策を取ったつもりだったが、ボールは池に波紋を描く。ドロップ後の3打目を9番アイアンで放つ。ラフからのショットはフライヤーし、グリーン奥のバンカーに転がり込む。マークセンは2打目でバンカーから打ち出し、3打目でグリーンをキャッチ。1・5メートルのパットを沈めてパーセーブ。一方の白潟は、4オン2パットのダブルボギーで首位の座をマークセンに明け渡したのだった。しかし、16番パー4ホールで白潟はバーディーパットをねじ込み、首位に並んで見せた。
17番パー3ホール。白潟は8メートル、マークセンは7メートルにティーショットを着ける。バーディー奪取でどちらが単独首位に抜け出すか--。白潟のバーディーパットはカップ手前でラインから外れ、ボール2個分ほど左に反れた。パー。白潟が決め切れなかったのに対し、マークセンはカップど真ん中からボールを放り込む。会心のバーディーパット奪取を決め、昨年大会覇者マークセンが今大会で初めて単独首位に立った。そして1打差を最終ホールで追いつけなかった白潟は、マークセンに逃げ切られたのだった。
「今日はティーショットが飛び、ショットは切れていました。マークセンと互角に戦えたと思います。勝ったマークセンはノーボギーゴルフ、2位の僕は1ダボ、その差ですね。また、(シニア初優勝に)挑戦したいです」と白潟は清々しく、敗者の言葉を吐き出した。
大会初日に白潟は誕生日を迎えたが「あまり嬉しくはありませんよ(苦笑)」。自らの誕生日を祝えなかった悔しさは、次戦でガツンと吹き飛ばしてみせる。バースデーケーキ53本の蝋燭の火を一気に吹き消すように--。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)