練習グリーンで黙々とアプローチ練習をしている選手がいた。青空のもと、顔から滴り落ちる汗が光る。柳沢伸祐、53歳。先週の広島シニアで今季初優勝を飾り、シニアツアー通算2勝目を挙げ、今週は2週連続優勝に挑む。
「それは気持ちいいですよ。優勝できたことで1年間のシード権を手に出来た。賞金ランキング順位を気にせず、これからの残り試合はガンガン攻めて行ける。去年のことを思えば、天国と地獄ぐらいの違いですよ」。
昨年の日本シニアオープンのプロアマ大会日のこと。スタート前の朝、練習場でボールを拾おうとした際ギックリ腰に見舞われた。その後2カ月は腰の具合を見ながらのプレーで好成績を挙げられず仕舞い。賞金ランキングシード圏内から押し出されそうな憂き目に遭った。「ギックリ腰になったとしても優勝シードがあるから試合に出られない心配をせずに済む。これは大きいよ。腰の爆弾がいつ爆発したって構わない!くらい気持ちが強くなった」。流れる汗を拭いながら、柳沢は力強くそう話す。
広島シニア優勝の勝因は「5、6メートルのパットが2、3回入ってくれたこと。上がり3ホールでは1・5メートルが決まってくれたことです。自分の順位(首位)をスコアボードで分かった時には、さすがに痺れが来ました。でも、優勝争いでしか感じられない特有の痺れですから、嬉しかったです。今週もその痺れを味わえるように頑張りますよ」。
来季シードを確定させ、腰痛は予防注射を打つことでケアしている。腰ではなく、今週もまたスコアの爆発に期待をしたい。