一昨年の『ISPS・HANDA CUP・フィランスロピー』でシニア初優勝して以来、2度目の優勝を飾った柳沢伸祐(53)は「いやー、なんだか(優勝争いのプレッシャー)痺れるという感覚が、新鮮で、しかも楽しいものなんだなと改めて感じました。特に、16番ホールで、そこにボードがあって、あ、トップタイだと思って、1メートル半のバーディパットを沈めるときの感覚。指先まで、血液が変な動き方をしてるなって感じるんですよ。そういう中で、これを決めないと思って打つわけでしょう。いまなら楽しかったな、と言えます」と語っていた。
1番ホール、パー5。3打目は、ピンまで15ヤード。それをOK距離に寄せてのバーディが、この日の始まりだった。3番ホールで、ピン上から下りのライン。「3パットしそうだな、と思っていたら、それが入ってバーディ。それで流れが良くなって」4番ホールのバーディに繋がったという。
面白いことに、今日のバーディのほぼ半分は、下りのラインだった。
「下りのラインって、読みきらないと入らないじゃないですか。それが運良く読めていたんでしょうね」といい、ゲームの流れの中で大事な場面で、決まってくれたことが勝因だったと言う。
「実は、去年、ぎっくり腰をやったんですよ。何回目だろうか。ぎっくり腰になると2ヶ月は、ゴルフがままならないじゃないですか、ほんのちょっとしたことで、キグっとなるんです。去年は、ちょうど日本シニアオープンの練習日で、そのまま欠場という悔しい思いがあります」という爆弾も抱えてのツアー転戦でもある。
最終ホール。第1打が、会心のショットだった。そのときに、優勝の手応えを感じた。「これも緊張感、痺れがなせる技かも知れませんね。そういうときって、信じられないショットが出ることもあれば、信じられないミスも出る」という柳沢は、今日は、最高のショットで見事に優勝というシーンで締めくくれた。