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シニアツアー

〔ファンケルクラシック・FR〕マークセン復活!富士山が微笑んでくれた今季初優勝

2019年08月25日

 最終ラウンドは、通算9アンダーで首位に並んだ田村尚之、ソク・ジョンユル、プラヤド・マークセンの3名がプレーオフ(18番ホール繰り返し)へ突入。1ホール目でソクが脱落。2ホール目は田村、マークセンともにバーディ。3ホール目では、田村がバーディーを逃し、マークセンがウィニングパットを沈め、シニアツアー通算14勝目を挙げた。本大会連覇は、2017年の室田淳以来5度目の達成者となる。

 マークセンはファンケルクラシック優勝賞金1500万円を獲得。獲得賞金を2266万円4478円とし、2位の倉本昌弘に約355万円の差をつけ現在賞金ランキング1位の座についている。

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 体が何だかフワフワしているように感じた。理由は睡眠不足。午後11時にベッドに入ったが、午前2時に目が覚め、それから眠れずに朝を迎えたからだった。

「海外遠征続きで疲れが抜けきらない。時差ボケも収まらない。強行日程が体調を乱したのでしょうね」。それが今季未勝利の一因だとプラヤド・マークセンは語る。昨年大会ではプレーオフの末にグレゴリー・マイヤーを下して手にした優勝カップ。大会2連覇への期待は、マークセンが一番強かったのかも知れない。

「富士山が大好きだし、その麓でプレーできるのが嬉しい。ギャラリー数の多さはシニアツアー屈指で、大勢の前でプレーするのはやっぱり気持ちがいい。一緒に着いて歩いて観戦してもらえるのも凄い。それに子供たちもたくさんコースに来てくれる。子供が大好きなので自然とモチベーションが上がります」。マークセンは歴史と伝統あるファンケルクラシックが大好きな理由をポンポンと挙げてみせた。さらには「コースとの相性も良く、優勝したことでショットイメージも沸きやすい」と言い切る。

 それでも、体調の悪さを否めない。黄色のウエアを着用して通算9アンダー・首位のマークセンは、スタートティーへ向かったのだった。前半9ホールでバーディーを一つも取れず、ボギーが二つ先行してサンデーバックナインを迎えた。首位の座を明け渡しての残り9ホール。「ショットの悪さは気にせず、パットで凌いで、パーで上がれたらそれを素直に良かったと思うようにする。我慢のゴルフに徹するしかありませんでした」。

 ようやく後半10番ホールでこの日初めてのバーディーパットが決まったものの、その後はパーセーブが続いた。15番ホール終了時点で首位のソク・ジョンユルとは2打差。大会2連覇が遠ざかって行くように感じた。だが、16番ホールでソクがボギーを打ち、1打差に縮まった。18番パー5ホール。ソクもマークセンも2オンを果たす。マークセンはイーグル逃しのバーディーでフィニッシュ。一方のソクは予期せぬ3パットで首位の座を、マークセン、先に上っていた田村尚之と分け合ってしまったのだった。

 勝敗の行方はプレーオフに持ち越された。すぐれない体調ながらパーセーブを紡ぎ、少ないチャンスをバーディーにつなげてパープレーで回り切ったマークセン。だが、プレーオフに加われたことで俄然、集中力が増し、スイッチが入った。フワフワしていた体も、ようやく地に足が着き、本来のスイングを取り戻したのだ。プレーオフホールでのプレーを3回繰り返した末にマークセンがバーディーを奪い、今季初優勝で大会2連覇を遂げたのだった。

「去年もプレーオフで勝ったという良いイメージがあったし、プレーオフ3ホールともドライバーで飛距離を稼げて、残り220ヤード前後をユーティリティーの3番で同じように打てたのが勝因です」とマークセン。本戦からプレーオフ3ホールまでの計4回とも2オンに成功し、バーディー奪取できたことが大きかった。「去年の大会最終日も黄色のウエアで勝てたから、今日も同じ黄色を選んで着て来ました」。験(げん)を担いまでも勝ちたい。心の底からマークセンは優勝に飢えていたのだ。大好きな大会で、相性の良いコースで、キングオブシニアは復活劇をしっかり演じ切ったのだった。賞金ランキング1位の座をも奪い返して--。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)