最終組の伊澤利光とともに首位で迎えた18番パー5ホール。ソク・ジョンユルは同組の1打差2位のプラヤド・マークセン同様に2オンを果たした。伊澤はティーショットを大きく曲げ、トラブルからの脱出に打数を重ね、4オン。ソクが1パット(イーグル)なら優勝、2パット(バーディー)ならマークセンがイーグル奪取に成功しない限り、シニア初優勝を飾れる場面を作り上げていた。イーグルパットをソクもマークセンも決め切れず、1メートル弱のバーディーパットをジュンユルがねじ込めば、それがウイニングパットとなる場面を迎える。
「フックラインだと思ったのでカップの右に真っ直ぐ打ち出しました。タッチが強過ぎました」。ボールはカップの縁に蹴られ、グリーンを取り囲んだギャラリースタンドからはタメ息が漏れた。3パットのパー。マークセンはバーディーパットを決めてバーディー。クラブハウスリーダーだった田村尚之とマークセン、ソクが通算9アンダーで並び、ボギーに終わった伊澤は通算8アンダーフィニッシュでプレーオフには加われなかった。
同1ホール目。ソクはウイニングパットを仕留められなかった後悔が、ティーショットに現れてしまう。フェアウエイ左サイドの斜面にショットを大きく曲げてしまい、2打目をレイアップし、3打目でグリーンキャッチ。マークセンと田村はツーオンを果たしていた。しかも、最初にパットを打つのはソク。カップから最も遠い位置に乗せたのだった。距離のあるバーディーパットをカップに沈めることはできずにパー。残る2人がバーディーを取ったことで、ソクはプレーオフから脱落。前試合の熊本・阿蘇シニアに続いてまたしても2位タイに終わり、日本でのシニア初優勝を逃す形となったのだった。
「正直、ゴルフの調子は良くなく、昨日はパットで凌いで、耐えての順位(2位タイ)だったのです。今日もそのパットの調子が良ければの状態でしたが、そんなに上手くは行きませんよね。(ゴルフの内容が)良くはありませんが、自信はあるので、これからも1ラウンドずつ、1ショットごと集中して最善を尽くします」
来週からはPGA最終プロテストに挑むソクは、「合格」が目前の目標、そして来季の賞金シードを最大目標に掲げている。「真っ新な気持ちで臨みます」。プレーオフ負けのダメージをすべて拭い捨て、今月27日からの4日間の戦いに挑戦する。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)