スコアカードを提出し終えた途端、63のビッグスコアを出したことを知った仲間たちが駆け寄って来た。中島武志に声を次々に掛ける。「ナイスプレー」「おめでとう」「ご馳走になります」。大会ベストスコア賞の賞金は100万円(複数の場合は均等割り)。全選手がまだホールアウトしたわけではなかったが、9アンダーに到達する選手は居なかったからだ。
通算4オーバー・54位タイで迎えた最終日。前日までパットが打ち切れない。ショートを繰り返していた。「今日の18ホールは、明るく楽しくプレーするためにも、パットをしっかり打って行きましょうね」。ラウンド課題を掲げたのは「タッグ」を組んで4年目を迎えたプロ帯同キャディーの小林明子だった。
インコース10番パー5ホールから発進した中島は、3連続バーディーの好発進を遂げる。スタートホールでは2オン2パット、11番ホールでは1・5メートル、12番ホールは30センチの距離のバーディーパットを沈めた。17番パー3ホールでは6番アイアンでカップ2メートルに着け、4つ目のバーディー奪取。前半で4つスコアを伸ばし、後半に入っても勢いは止まらない。11ホール目から再び3連続バーディーに成功し、16ホール目も1メートルのバーディーパットを決め、この時点で8アンダー。最終ホールでは5メートルのバーディーチャンスを作り上げたのだった。
「同組の加瀬(秀樹)さんも桑原(克典)も僕のプレーぶりを支えてくれた。パットを決めるたびにナイス!ってね。気持ち良く回らせてもらったお陰のビッグスコアです。こんな雰囲気はシニアツアーならではだと思います」。
今季はツアー出場優先順位2位で参戦している。前試合での熊本・阿蘇シニア9位タイが今季の最高成績。賞金ランキングは47位。「今週の練習ラウンドも絶好調で、バーディーばかり。でも本戦が始まったらパットが入らなくなってしまいました(苦笑)」。最終日は練習ラウンドのようなゴルフが復調し、ショットが切れた。パットが入った。
「最終ホールのバーディーパットは下り5メートル。決めたらベストスコア賞かと少し緊張しましたが、下りラインだから、それほど打たなくてもラインに乗せさえできたら入ってくれる。上りラインだったら手が痺れて決められなかったかも知れませんからね」と言って、最後は大笑い。9アンダー・ノーボギー63でベストスコア賞を獲得するとともに賞金ランキングは37位にジャンプアップ。「来週は地元での広島シニアですから、いい弾みが着きました」と小林キャディーとともに、さらなる活躍を誓っていた。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)