「ファンケルクラシック」の第2ラウンド。初日2位スタートのプラヤド・マークセンがスコアを5つ伸ばし9アンダーで首位逆転。1打差2位には、伊澤利光と4番ホールでホールインワンを達成したソク・ジョンユルが並んだ。5アンダー4位には、寺西明が続いている。
イーグルからダブルボギーまで、5種類のスコアを出しながらも、上がってみれば6つもスコアを伸ばしたのが、ソク・ジョンユルだ。
バーディースタート後の2番ホールでは2打目がOBエリアに消えてのダブルボギー。3番ホールをパーセーブして迎えた4番ホール、181ヤードのパー3。6番アイアンで放ったボールはカップにダイレクト・イン。ホールインワンとなり、同組のプラヤド・マークセン、寺西明、帯同キャディーとハイタッチしてソクは喜んだ。その後も3バーディーを奪い、前半32でハーフターン。後半は3バーディー・1ボギー34。1イーグル・7バーディー・1ボギー・1ダブルボギー66。通算8アンダー・2位タイで明日の最終組に加わった。
「(ホールインワンは)ラッキーでしたね。これまでプロアマ大会で2回、プライベートラウンドで2回の計4回。でも試合では一度もありません」。興奮のあまり、英語と片言の日本語を織り交ぜ、ダブルボギー後のビッグなバウンスバックを振り返ってみせた。
今季のツアー出場優先順位1位の座を射止め、シニアツアーに本格参戦しているシニアルーキー。ここまで6戦してベストテン入り3回。すまいーだカップでの2位が最高成績。賞金ランキングは5位に着けている。今年7月には韓国チャンピオンズツアー「第7回グランドカントリークラブKPGAシニアオープン」でシニア初優勝を飾っている。その勢いを持続して臨んだ今大会だが、決して体調は万全ではない。
「去年11月にギックリ腰になり、治りかけた4月に再発してしまいました。体をターンさせるのは問題ないのですが、しゃがんだり前屈したりすると痛みが走ります」。ティーアップやカップからボールを取り出す仕草はぎこちなく、両膝を折らなければならない。側屈動作でも痛みを覚えるのだという。完璧なスイングはできないものの、フェードボールを巧みに操り、スコアを作り上げる。
昨年のコマツオープンでシニア初優勝を飾ったパク・ブーウォンから積極的な誘いを受け、来日本格参戦を決断したという。韓国レギュラーツアー時代は2勝を飾り、トップ選手として自国では人気を集める。身長165センチ、体重71キロ。鍛え上げた体から繰り出される力強いショットは、選手の間でも一目置かれる存在だ。
「こうして日本でプレーでき、ビッグトーナメントに出場させてもらえるだけで幸せです。まだまだ(日本では)優勝できるような選手でないので、トップ10入りを目指して明日も頑張ります」。野武士のような髭が印象的なソクだが、見た目とは違って謙虚な言葉しか口にしない。逆にそれが、優勝をしっかり視野に入れている強かなシニアルーキーにしか思えない。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)