5バーディー・ノーボギー67のスコアカードを提出した伊澤利光は、首位タイ。すぐに記者たちに取り囲まれ、インタビューを受けた。
--ノーボギーでのラウンドでしたが?
伊澤 今日は良かったですよ。カップに蹴られたのが2回ありましたが、ノーボギーでしたしね。
--ラウンドの最後の方は霧で見えなかったと思いますが?
伊澤 18番ホールは流石にきつかったですね。3打目になってもピンは見えていませんでした。ショット前にはグリーン近くピンを確認しに行きましたが、それでもよく見えず、前組の人影でだいたいこの辺りかな・・・という感じで打ったくらいでしたよ(笑)。
--ピンが見えない状況でのプレー経験は?
伊澤 ピンが見えずに打ったことはないですね。まぁ、それでも最終ホールはパーで上がれたから良かったです。
--昨年大会同様、初日トップでのスタートとなりますが?
伊澤 すごくショットも良くて、自分自身に自信も持てているのでね。今日は、自分の中でも100点のゴルフでしたし、申し分なしですよ。昨日のプロアマ大会でもノーボギーでラウンドできていましたし、今日もノーボギーでラウンドでしたからね。このイメージで、明日も頑張ります。
そう言って伊澤はロッカールームに引き上げた。5バーディーのうち、最も長かったパット距離は7番ホールでの4メートル。その他は2メートルが2回、3メートル1回、30センチ1回だ。好調ショットの要因は何なのか。伊澤の背に向かって問いかけた。
「好スコアの要因は一体何でしょうか」。伊澤はすぐに振り返り、返答してくれた。
「ショートアイアンの距離感が合い出し、飛距離も出だしたからです。バックスピン量を抑えたくて、テークバックでシャットに振り上げるようにスイングを調整し、グリップはフック目に変えました。これまでもスイングをちょいちょい変えてはいましたが、1カ月前からグリップとテークバックを変更してからは自分が思った分だけ飛んでくれるようになりました」。
大口は決して叩かない伊澤が、自らに100点満点を出すのが珍しいことだとも感じた。どうしても尋ねたい衝動に駆られた。「ベストスコア67。パット数は31。本当に完璧なラウンドだったんでしょうか」。伊澤は一旦、上を見上げて、こう言った。「9番ホールでのティーショットを右ラフに打ってしまいましたね。それが唯一の失敗ショット。1回だけでした」。その1回のミスショットを塗り潰してしまうほど、残りの35打は満足行くショットだったのだ。
自信溢れる伊澤が、一年前よりも大きく見えた。明日の最終組でのプレーが俄然楽しみでならない。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)