「また、一打差の壁、重さですね」。日焼けした顔に白潟英純(52)は、苦笑いを浮かべた。 通算4アンダー・5位タイの白潟はバーディー発進を遂げ、「取れるホールは確実にバーディー奪取」ゴルフのゲームプランをまずは成功させた。5番ホールからの3連続バーディーでスコアを通算8アンダーに伸ばし、サンデーバックナインに向かう。リーディングボードで首位とは1打差に迫っていた自分の順位を確認できた。
あと一打伸ばせたなら首位に並べる。焦ったわけではなかったが、10番ホールから4連続パーに終わる。迎えた14番パー5ホールで確実にバーディー奪取すると再び快進撃開始。15、16番ホールでのバーディー奪取し、この日2回目の3連続バーディーを決めた。
「ドライバーの調子が良く、曲がらなかったから、距離も出ました。練習をして来たお陰ですかね」。白潟はシニアツアーでは未勝利だが、今年6月に行われたPGAシニア後援競技「2019 ホームテックカップ シニア」(福岡県・夜須高原カントリークラブ)でプレーオフの末に初優勝を飾っている。その優勝副賞として全英シニアオープンのマンデートーナメント渡航費を獲得し、白潟は予選会ながら世界シニアメジャーの舞台に上がったのだった。「練習ラウンドではカルロス・フランコと一緒に回りました。レギュラーツアー時代を思い出し、懐かしかった。マンデー結果はあと、あと一打及ばずのマンデー落ちでした。帰国便まで日数があったので一緒にマンデー挑戦をした大井手(哲)さん、清家(和夫)さんと名門コース、ロイヤル・リバプールでラウンドし、練習もタップリして来ました」。世界メジャーの本戦「檜舞台」に立つことは出来なかったが、たくさんの刺激を受けて帰国しての1戦目が、この大会だったのだ。
最終18番パー5ホール。好調ドライバーショットはフェアウエイをヒット。2打目はグリーンエッジまで残り245ヤード。風はアゲンスト。白潟は3番ウッドをしっかり振り抜いた。ツーオンを狙ったショットは芯を食い、予想以上に飛んだ、グリーンをオーバーするほど飛んでしまった。3打目を寄せ切れず、バーディーパットは下りの2メートル。ショートしてしまい、パーに終わる。「アドレナリン効果だったんでしょうかね。あのツーオン狙いの一打は…。(優勝争いの)経験不足なのでしょうかね。また、一打差の壁に跳ね返された感じです。もっと、アイアンショットの精度を高めるように練習します。良い課題をもらいました」。悔しさを表情に出さず、潔く白潟は背筋を伸ばして表彰式へと向かったのだった。
自己最高順位2位タイは今季最高成績でもある。この経験をこれからのシニアツアーで生かしてこそ初シード、そしてシニアツアー初優勝を実現できる。もう一度、英国での本戦4日間ラウンドをするためにも--。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)