高橋勝成(68)が大きく胸を張り、つぶやきながらスコアカード提出所へ。「よし、よし、エージシュートよ」。6バーディー、ボギーなしの66。狙って、仕留めたエージシュートだったからこその「ドヤ顔」だった。
伏線は前日第1ラウンドにあった。12番のバーディーで3アンダーとし、エージシュートが見えていたが、14番ボギー、15番バーディー、17番ボギー、18番バーディーと、ボギーが先行する形で4アンダーにたどり着けなかった。
この日は狙っていた?「うん、エージシュートのイメージはあった。昨日はフェアウエーど真ん中からボギーにしたり、ボギーが多かった。ボギーがなければ、4アンダー、68は行けそうな感じだった」と、頭の中ではできていた。
3番で手前、4番で左バンカーとパーオンに失敗したが、アプローチとパッティングで切り抜け、思惑通りボギーをたたかずに、難しい序盤を乗り越えた。6番で奥3メートルを入れて、進撃を開始した。8番で40センチ、9番で左手前3メートルを入れて3アンダー。リーチをかけた。
エージシュートが「整った」のが12番。9アイアンで2メートルにつけて4アンダーに。前日ボギーにして夢破れた14番で幸運が訪れる。グリーン手前にショートし、15ヤードほどだったが「すごいフックラインで、どうやって二つで行こうかと思った」というアプローチが直接入って、ボギーのピンチが一転、バーディーに。第1ラウンドの轍を踏まず「貯金」もできた。気持ちが楽になった15番パー5で第2打をグリーンエッジまで運んで「ダメ押し」のバーディーを奪った。
「すっごくうれしい。エージシュートをするのは楽しみだから」と笑顔が続く。通算9アンダーで首位に2打差の3位に浮上。エージシュートを達成すれば、優勝争いがついてくるのも分かっていた。「その2つでドキドキしていました」と振り返った。
昨年は体調が悪く、賞金ランク55位とシード権を逃した。今季は生涯獲得賞金ランキング30位以内」の資格で出場している。「去年は右の股関節の痛みがあった。福岡の治療院に通って痛みが少なくなったら、今年の2月ぐらいから左ひざが腫れて、ここに来る1週間ぐらい前まで歩くのも大変だった」という。やっとひざの痛みも少なくなり「体が痛くないのは楽」という。
クラブ契約先のスタッフが「アイアンを直してくれたのが大きい」という。昨年まで右股関節をかばうスイングに合わせて、フェースが開いた感じのクラブを使っていたが「体調がよくなるとそれじゃだめなので(体調がよかった時に)戻してくれた」と、今回のエージシュートにつながった。「クラブのおかげ。自分の腕? 半分(50%)ぐらいかな」と笑った。
「この年になって(優勝とエージシュートの)楽しみがあるってなかなかないことなんでね。当然、明日もエージシュートです」。エージシュートを達成すれば、少なくとも13アンダーに到達する。大混戦の中、十分優勝争いに絡むスコアになる。
(オフィシャルライター・赤坂厚)