「独り占めだね」。スーパーシニアの部の順位が確定して、70歳の海老原清治は今季初優勝をそう評したのだった。
前日は14番パー3ホールでホールインワンを達成し、3アンダーでエージシュートをマークするとともに単独首位に立った。最終日はイーブンパー・単独2位の初見充宣と最終組決戦。「前半はアイアンショットの精度が悪くて、ボギーを打ってばかりだったよ」と海老原。9ホール終了した時点で3ボギーとし、前日作り上げた「スコア貯金」をすべて使い果たす。後半に入って11番ホールで4つ目のボギーを叩き、初見に首位の座を明け渡した。
だが、ここからが2002年の欧州シニアツアー賞金王らしく、百戦錬磨の勝負師が軌道修正を見事に成功させたのだ。「グリップ位置が少し左にズレていたために、トップやダフリのミスが出ていたのかも知れない。右足に体重を乗せた構えから打ってみよう」。その閃きと実践が奏功する。12番ホールでこの日初めてのバーディーを奪うと、15番ホールでも切れを戻したアイアンショットでバーディーチャンスを作り出す。「初見はカップ真横、僕はカップ真下からのバーディーパット。初見が外し、僕はポンと強めに打って入れた。カップ下からのラインだったから(強めタッチで打てた)ね」。再逆転に成功した海老原は、そのまま逃げ切る形で優勝を手にしたのだった。「ホールインワンにエージシュート、そして優勝。3冠達成だなんて、こんなに嬉しいことはないよね」。
エージシュート達成の秘訣を尋ねると「健康であること。それに飛距離を出せないとね。現在ドライバー飛距離目安は240ヤードだけど、当たれば250ヤードは出る。つねに250ヤードは飛ばせるようになりたい。あと10ヤードの飛距離アップと日本ゴールドシニアでのエージシュート達成が目下の目標ですよ」と海老原は目を輝かせていた。
大会2日間ともにエージシュートを達成したのは、76歳の小川清二。前日は76、最終日は71の1アンダーで回っての快挙達成だ。「今日は風が吹かなかったし、ショットが切れていました。前半は1ボギーの37だったけれど、後半は見違えったね」と言って白い歯を見せた。3バーディー・1ボギー34で回り、通算3オーバー・4位に入った。「今年の目標は出場試合すべてでエージシュートをマークすること。目標というより夢かな(笑)。そのために健康管理をきっちりやって、五体満足でティーに立つように努力しているよ。今のところは元気、元気だからね」。2ラウンドで2回のエージシュート。達成率100%。夢実現へ確かな感触を得たことを小川は素直に喜んでいた。
(PGAオフィシャルライター 伝 昌夫)
最終成績はこちら>>