シニアの部の1番ホールスタート第1組目のシニアルーキー・手嶋多一は午前7時40分にティーオフした。「(開幕戦から)飛ばして行きたいですね」と大会前日に意気込みを話した手嶋は、3番ホールでの10メートルのバーディーパットが決まり、(これはラッキー!)と心の中で叫んだ。4番ホールではグリーンエッジから3打を費やしてボギーを叩く。しかし、5番パー5で2打目をグリーンエッジまで運び、そこから2打でカップに沈めて今度はバーディー。9番ホール・パー5は7番アイアンでの3打目を60センチに着けてバーディーを奪った。
「今週から新しいアイアンを使い始めました。僕は新クラブも新ボールも「即投入」できるタイプなので…。それこそ毎日(ボールを)変えても平気です。レギュラーツアー時代には4ラウンド毎回違う(メーカーの)ボールを使ったこともあるくらいですからね」
後半に入って手嶋はさらに加速した。11、12番ホールで連続バーディー。14番ホールでは2メートルのバーディーチャンスをモノにしし、17番ホールのボギーは最終18番パー5ホールでのバーディー奪取で打ち消した。7バーディー・2ボギー67。単独のクラブハウスリーダーとなった。
「パットが良く入ってくれました。後半の13パットは予想外です」としながらも、今季はアプローチ強化=「グリーンを外してもパーを拾う」ことに手嶋は重きを置いている。それが本来のゴルフスタイル。昨季のレギュラーツアーでは、寄せ切れず、入れ切れずのボギーを打つシーンが多々あり、それが賞金シードを逸失する最大要因だったのだ。
「アプローチ強化の賜物ですね」。シニアデビューの試合で「即優勝」のチャンスを引き寄せた。
5アンダー単独首位の手嶋に並んだのが、QTランキング4位の西沢章夫だ。6バーディー・1ボギー67。「ドライバーショットはどこへ飛んで行くのか分からない状態でしたが、2打目は運良く打てましたし、パットは良く分からないほど入ってくれました」。その言葉どおり、バーディーパットの距離は7メートル前後が4つ、10メートルが一つと長い距離が決まり、残りの一つは1メートルだったという。
「今日は風が強く、80を叩いても仕方ないと思うほどでした。今日の5アンダーは明日(最終日)のスコア貯金です。5オーバーでも通算イーブンパーになりますから」と西沢は優勝争いよりも自分のゴルフに徹することを目標に定めた。
そんな二人を上回るスコアをマークし、単独首位に立ったのは倉本昌弘。6バーディー66。ノーボギーの完璧ゴルフを展開したのだ。「「風が結構難しかったけれど、ショットが非常に良かった。フェアウエイは2回しか外していません。そういう意味では楽でした」。好調ゴルフの要因を例年よりもラウンド数を重ねて開幕戦を迎えられたことだと話す。「若い選手には負けないように、明日一日も頑張ります」。PGA会長職という多忙な日々を送っているが、試合という舞台に上れば一選手に戻る。表彰式で優勝カップを手渡す仕事を、果たして明日は「受け取る」立場に変えられるか。